2017年08月17日

契約書の作り方「契約書の甲乙について」

契約書には、契約を交わす当事者の表示として、「甲」「乙」と書かれています。契約書を作成しようとした時、「甲・乙って、何だろう?」と考えたり、「どちらが甲で、どちらが乙になるのだろうか?」と迷ってしまったりしますよね。

A社とB社との間で契約を締結する場合、契約書には、何度も、A社・B社という言葉が出てくることになります。基本的に、全ての条項において、A社・B社という言葉が出てくることになるでしょう。そうすると、契約書が長くなってしまったり、読みづらくなってしまったりします。

例えば、当事務所の正式名称は、「弁護士法人兼六法律事務所」ですが、これが、第1条、第2条、第3条・・・と全ての条項に書かれていると長くなるし、分かりにくくなってしまいます。これが、「甲」と一文字で表記できれば、文章が短くなり、読みやすくなります。

このように、当事者の表示を「甲」「乙」とするのは契約書をわかりやすくするためのものですから、「甲・乙」である必要はなく、「A・B」「ア・イ」などでも構わないのです。

ちなみに、契約の当事者が2名だと「甲乙」ですが、契約の当事者が増えていくと、「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」と続いていきます。私が作成した契約書で一番当事者が多かったのは5名だったので、「戊」まで使いました。「戊」は、「ぼ」と読みます。「戊」以降は、何と読むのかも分からない漢字もありますね・・。

また、このように、本来は、単に文章をわかりやすくするためのものですから、どちらが甲でも乙でも構わないのです。

ただ、そうは言っても、昔の学校の成績表は甲・乙・丙で付けられていたり、「甲乙つけがたい」という言葉などからも、何となく、甲の方が偉くて上の立場にあるような印象を受けます。そこで、慣習上、お客さんを甲として、事業者を乙とすることが多いようです。

また、それぞれの業界によって、どちらを甲乙とするかの慣習があるようで、不動産賃貸借契約書では貸主を甲で借主を乙としたり、業務委託契約では委託者を甲で受託者を乙とすることが多いようです。

弁護士や裁判官の立場からすればどちらでも法律上は何の問題もありません。そもそも、弁護士や裁判官はそのようなところを注意もしていませんし、気にも留めていません。ただ、そうは言っても、「じゃあ、どちらを甲にして、どちらを乙にしたらいいの?」という思いはなくならないですよね。本当にどちらでも良いのですが、もし迷ったら、契約の相手を甲として自分を乙としておけば、契約の相手を立てているような印象を与えることになりますから、無難かもしれませんね。
 

2017年08月17日 | Posted in ブログ, 契約書作成 | タグ: Comments Closed 

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