2018年06月04日

【相続問題】遺言書と調停により解決した事例

ご相談の内容

A子さんの弟のBさんから相談がありました。

姉のA子さんは最近、60代で死去しました。
A子さんには結婚歴があり、2人の男児がいたものの、まだ幼いうちに離婚となり、
子どもは夫に引き取られて、以後長期間、全く音信不通になっておりました。

A子さんは、Bさんを頼ってその近くに住まいするようになり、
やがては、A子さんに頼まれて、居候させてあげるようになりました。

Bさんには、妻とまだ小学生の娘Cさんとその弟もおりましたが、
若くして独り身となったA子さんに同情し、
請われるまま、生活の支援をしておりました。

A子さんは陽気で楽しい人ではありましたが、
寂しがり屋で、酒癖が悪く、深酒して吐いたり、
夜中にうなされてうなり声をあげたりすることもしばしばでした。
深夜、うなり声が聞こえて来ると、
Cさんは、怖くて目が覚めて眠れなくなることもあった、とのことでした。

そんな経緯があって、A子さんは、Bさん一家に大変感謝するようになり、
口癖のように、自分の遺産は全部Bさんに上げる、と周囲に言うようになりました。

A子さんには、古くはなっていたものの、一戸建ての住宅と
働いてコツコツと貯めた2000万円ほどの貯金があったのでした。

そうこうするうちに、A子さんは事故で急死したのです。

当初、遺言書が見つからず、
このままでは、遺産は全部、
全く付き合いのなかったA子さんの長男と次男に行ってしまうことになります。
何とかならないのでしょうか、とCさんから相談を受けました。

解決への道すじ

この場合、遺言書がなくても、
遺産を贈与した旨の契約書があれば、受け取ることもできるので、
文書を探すように指示しました。

そうしたところ、贈与ではなく、
自筆の遺言書らしき物が仏壇の中の引き出しの奥から発見されたのです。
そこには、遺産の全部をBさんに相続させる、
という内容のことがA子さんの直筆で記載されており、
作成日付けと署名押印もありました。
どうやら有効な遺言書と判断されました。

ところが収まらないのはA子さんの長男と次男でした。
一旦は遺産が全部手に入る、と思っていたのに、
それがBさんに行ってしまう、というのは我慢がならないことでした。

そこで弁護士をつけて、遺留分の請求をして来たのです。

遺留分というのは、子や妻などの配偶者や1親等の法定相続人に認められる権利で、
いわば遺産の最低保障額制度です。
それによれば、遺言書などで相続できない立場になった場合でも、
法定相続分の半分は保障される、ということになっています。

本件では、本来の相続人は子ども二人のみですから、
1人当たり、遺産の4分の1ずつを請求できる計算になります。

また、故人から相続人への生前贈与があった場合、
それによって他の相続人の遺留分が侵害されているのであれば、
その主張が出て来ることもあります。

たとえば本件の場合では、残っていた遺産の評価額は、
土地建物で1600万円、預貯金が2000万円、合計3600万円でした。
普通に考えれば、子ども二人の遺留分は、
それぞれその4分の1の900万円分、ということになります。

ところが、金800万円がA子さんからBさんに贈与されていたとすると、
それを遺産に戻せば遺産は金4400万円となり、
その4分の1となると金1100万円ずつが子ども1人の遺留分、ということになるのです。

このケースでも、子ども側はそれを狙って、
生前贈与があった、などと主張をして来ました。

そこで、その解決のために直接交渉よりは、
調停に持ち込んだ方が話がまとまりやすいだろう、と考えて、
「遺産に関する紛争調整」の調停を起こしました。

そこで協議した結果、最終的には、生前贈与は証拠が不十分で認定されず、
それがないものとして合意に達し、
Bさんは遺産の半分を無事確保することができ、円満解決となりました。

2018年06月04日 | Posted in 個人の法律相談, 相続問題, 解決事例 | タグ: Comments Closed 

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