2019年05月23日

【相続問題】介護していた叔母の全財産の相続できた

ご相談の内容

A子さん(40代女性)から相談を受けました。

A子さんは、かねて親戚付き合いのあった叔母さん(70代後半)から頼まれて、身の回りのお世話をすることになりました。

その叔母さんは、既に夫に先立たれ、子どもはいなく、相続人は兄と弟及び妹が1人ずついるのみでした。

A子さんは、その兄の子どもということで、高齢の兄に代わって、叔母さんの身の回りのお世話をするようになりました。
そして、介護施設に入る際も連帯保証人になっていました。

そのA子さんから、最近その叔母さんから、「自分の財産はA子さんに上げる」と言われている、どうしたらよいか、と相談がありました。

解決への道すじ

それなら遺言書を作成するのがよいです、遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言とがあるが、どちらがいいですか、とお尋ねしました。

A子さんは、なるべく効力が強く、後で他の相続人から文句を言われないようにしたい、とのことでした。

そこでこのような場合は、公正証書遺言とし、かつ、弁護士を遺言執行者に付けるのがよい、とアドバイスしました。

公正証書遺言書にすれば、公証人という第三者が作成に関与して遺言作成能力のチェックもしてくれますし、弁護士を遺言執行者にすることで、あらぬ疑いを掛けられることなく適正かつ確実に遺言書の通り執行されることになる旨、説明しました。

なお、本件の場合、ご主人もお子さんもご両親もおられませんから、相続人が兄弟のみということになります。

そのような場合は、兄弟姉妹には遺留分というものもありませんから、遺留分侵害という問題も生じませんので、全財産をA子さんに相続させる、という遺言書を作成しても他の相続人から遺留分を主張される心配はありません。

こうして、全財産をA子さんに遺贈する(相続させる)旨の遺言書を作成しました。

また、弁護士が遺言執行者となりました。

公正証書遺言書作成に当たっては、証人2人が必要ですが、遺言執行者も証人になれますので、遺言執行者の弁護士と事務所の事務員を証人とすることで、完全な公正証書遺言書を作成することができました。

 

その3年後、その叔母さんが死去された旨の連絡がA子さんからありました。

そこで早速、公正証書遺言書に基づき、全遺産をA子さんにお渡しすることができました。

なお、お渡しするに当たっては、事前に決めてあった、所定の遺言執行の手数料(遺産全体の数%です)を差引いてお渡ししました。

他の相続人から苦情等は一切なく、円満かつ滞りなく、遺産相続は遺言書通り執行されて終わりました。

 

 

執筆者プロフィール
a弁護士 二木克明 >>プロフィール詳細
相続問題と労災事件に注力している。
相続問題は,年間相談件数44件(受任件数40件)(※直近1年間)の豊富な経験を持つ。
依頼者のお気持ちを大切にすることを心がけている。
2019年05月23日 | Posted in 【個人】相続問題, 二木克明の記事一覧, 個人の解決事例, 全記事, 解決事例 | | Comments Closed 

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