2018年06月04日

年老いた母親の依頼で、財産を独り占めした長男から取り戻 した事例ー遺留分の時効の壁をクリア

ご相談の内容

相談者(Wさん)は70代の女性で、4人の男子を一人前に育て上げた人でした。
ご主人には15年前に先立たれ、子どもも皆都会に出て独立しており、
1人で農業を営んでおりました。

この場合、ご主人の遺産の2分の1はWさんのものになるはずでした。

ところが、Wさんの法的無知につけ込んで、
長男が、ご主人の財産を独り占めしてしまったのです。

それで生活が苦しくなって、親族の助言もあり、
ようやく弁護士に相談に来られた次第です。

解決への道すじ

調べてみると、ご主人には不動産しかなく、
自宅以外は山林や農地など経済的な価値が高くなかったのですが、
ちょうど道路が作られることで、用地買収の対象となったため、
1000万円くらいのお金が入ることになっていました。

ところがその不動産は、いずれも生前、
ご主人から長男に生前贈与されてしまっていたことが判明したのです。

 

このような場合でも、Wさんには遺留分がありますから、
その請求をする道は残されていました。

遺留分とは、遺言書や生前贈与で、
本来遺産になるべきものが特定の遺族に相続されてしまった場合でも、
法律による最低保障として、
法定相続分の半分は遺産を取得できるようにする制度です。

ただ、遺留分の権利行使(これを遺留分減殺請求と言います)には時効があり、
遺留分侵害事実を知った時から1年、
それを知らなくても相続開始(ご主人が亡くなった時)から10年たてば時効、
ということになっています。

私のところに相談に来た時には、既に死後15年が経過していたため、
到底無理ではないか、と思われました。

 

ただし、話をよく聞いてみると、
Wさんが各不動産の名義が長男になっていたことを知ったのは、
7年前に用地買収の話が役所から来た時のことであることが分かりました。

そのころ、長男に用地買収の話をしたところ、
全部長男名義になっていて、母親に渡す分はない、と言われたことが分かったのです。
そしてその際Wさんは、そのお金は自分にも分けて欲しい、
という趣旨のことを述べていたことも分かりました。

そうだとすると、遺留分侵害を知ったのは死後8年後であり、
その時すぐに遺留分の請求をしている、
とぎりぎりですが、判断できそうなことが分かりました。

そこで時効が中断すれば、その後時間が経っても、
中断した時から10年以内に裁判を起こせば
時効はクリアされることになっておりました。

 

そこで、遺留分の請求について、依頼をお受けすることにしました。
早速、まず相手に請求書を出してみましたが、応じる気配がありませんでしたので、
遺留分減殺請求の民事訴訟を起こしました。

その結果、裁判所も、8年前に時効が中断したことを認めてくれました。
裁判では、二男や四男の協力も得て、主張立証した結果、
無事、ご主人の本来の遺産の4分1は確保することができました。

2018年06月04日 | Posted in 個人の法律相談, 相続問題 | タグ: , , , Comments Closed 

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