2018年03月27日

【医療事故】診断ミスにより死亡。損害賠償を請求し,示談成立!

患者は70代女性で,夕方に急に強い下腹部痛に襲われ,救急車で病院に搬送されました。

診察した医師に対し,患者は,急に下腹部痛が生じたこと,昨日から便が出ないこと,軽度の吐き気があること,便が詰まっているような感じであることなどを訴えました。
検査の結果,白血球数が上昇しており,CRPは陰性で,腹部は少し膨満しており,自発痛がありました。

CT撮影をしたものの医師は画像上 free air はないと判断し,胃拡張の診断を下し,入院を指示しました。

病室においても,患者は下腹部の強い痛みを訴え,痛み止めのソセゴンが使用されましたが,効果はなく,患者は看護師に対して繰り返し苦痛を訴えました。
看護師は医師に患者の状況を報告しましたが,医師は「痛み止めは3時間ぐらいすれば,もう一度使って良い」と指示するだけでした。

患者は,その後も看護師に対して頻回に苦痛を訴え,嘔吐,全身冷感,振戦,顔色不良の症状が出現し,その後,血圧が低下し,頻脈も出現し,強度の腹痛が続いたため,看護師は医師に連絡しました。
しかし,医師は,鎮痛剤使用で経過を見るしかない,朝まで経過をみるようにと指示しただけでした。

看護師はすぐに痛み止めのソセゴンを使用しましたが,改善はなく,午前2時に看護師が訪室すると,頻呼吸,顔色不良,末梢チアノーゼ,腹部全体に痛み,腹満感,苦痛表情強く,血圧測定も不能であり,医師に連絡しました。
医師が訪室して触診し,腹部造影CTの結果,遊離ガス,腹水を認め,直腸付近の穿孔が疑われました。

その後,緊急手術を行いましたが,敗血症性ショックにより死亡しました。

夫から相談を受け,病院に対して損害賠償を請求する書面を郵送しました。
病院側の弁護士から,責任を認める旨の連絡があり,交渉の結果,示談が成立しました。


執筆者プロフィール
弁護士紹介|森岡 真一(副所長)弁護士 小堀秀行 >>プロフィール詳細
30年以上に渡って,企業からの様々な相談を受けている。
顧客対応やクレーム処理,債権回収など,時代によって対応に変化が必要であり,最近はSNSなどを意識した対応に心がけている。

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