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2017年08月17日

契約書の作り方「契約書の名義について」

今回のコラムでは、契約書の「名義」について、詳細をご紹介します。

企業同士の契約書の場合、会社の営業担当者同士で商談を成立させることがあります。この場合、以下のどの形式で契約書を作成すればよいか、迷うことはないでしょうか。

A:営業担当者が商談を成立させたので、会社名と営業担当者名を併記して、営業担当者の印を押せばよい。
B:社名を記載し(社名の横判)、社印を押せばよい。
C:社名と代表取締役名を記載し(社名と代表取締役の横判)、会社名の記載のある代表取締役の印を押せばよい。

会社が契約の当事者になる場合、契約の効力がきちんと会社に及ぶように契約書を作成する必要があります。

きちんと契約書を作成していないと、後から、「それは営業担当者が勝手にしたことであり、会社は了承していない。」と言われ、契約は無効であると主張される可能性があります。営業担当者同士で合意しても、会社の決済が通っていなかったということがあるからです。
 
代表取締役は株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する(会社法349条第4項)ので、Cの契約書にするのが適当です。会社名の記載のある代表取締役の印は実印でなくても構いませんが、大事な契約の場合は、お互いに実印で取り交わすのがよいと思います。

Aの契約書の場合は、営業担当者が勝手にしたことだと言われると、契約が無効になる可能性が高いです。

会社法13条本文には、「会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす」とありますが、営業担当者はこれに該当しません。

営業担当者が当該契約を締結する権限があることを確認できればよいですが、そうでない場合は、Aの契約書は後々トラブルになりかねない契約書です。
 
ではBの契約書はどうでしょうか。

Bの契約書も、契約締結の権限のある人が作成したのかどうか、契約書を見ても分かりません。Aと同じように後々トラブルになるかも知れません。

以上から、Cの契約書で作成するのが一番適当です。

会社との契約書で名義人をどうするかのポイントは以下の通りです。

  • 社名と営業担当者名で契約をすると、後に契約が無効だと言われる可能性がある。
  • 社名だけの場合でも、同様の可能性がある。
  • 社名と代表取締役名を記載し(社名と代表取締役の横判)、会社名の記載のある代表取締役の印を押すのが適当である。

契約書の名義をどうすれば良いかわからない場合は、上記、3つのポイントをチェックしてくださいね。

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2017年08月17日

契約書の作り方「契約書のタイトルの付け方とタイトルの重要性」

契約書を作成する時、タイトルをどのようにすればよいか迷ってしまうという声を聞きます。そこで、今回は契約書のタイトルの意味についてお話ししたいと思います。

契約書のタイトルは、その契約の内容を端的に表すものにすることが望ましいです。たとえば、秘密保持契約書や金銭消費貸借契約書、請負契約書などです。契約書のタイトルを見ただけで、ある程度どのような内容かがわかるような具体的なものが望ましいです。とはいえ、契約書のタイトルについて明確なルールがあるわけではありませんので、あまり神経質にならず、わかりやすい表示を心掛けていただけばよいと思います。

一方、契約の当事者の間で契約についてトラブルとなった場合、契約書のタイトルには、法律的に重要な意味を持つことは、さほど多くありません。あくまでも、重要なのは契約の内容です。よくある勘違いは、「契約書」だと重すぎるから、「覚書」にしておこう、覚書ならそれほど拘束力は強くないだろう、という誤解です。「契約書」であろうと、「覚書」であろうと、書かれている内容が重要ですので、タイトルによって拘束力が変わることはありませんし、タイトルのみによって契約の意味内容が変わってくるということもありません。
つまり、契約書のタイトルは、その合意内容がわかるような端的なものにすればよいですが、重要なのはあくまでも契約の内容であるということを覚えておいていただければと思います。

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2017年08月17日

契約書の作り方「契約書の甲乙について」

契約書には、契約を交わす当事者の表示として、「甲」「乙」と書かれています。契約書を作成しようとした時、「甲・乙って、何だろう?」と考えたり、「どちらが甲で、どちらが乙になるのだろうか?」と迷ってしまったりしますよね。

A社とB社との間で契約を締結する場合、契約書には、何度も、A社・B社という言葉が出てくることになります。基本的に、全ての条項において、A社・B社という言葉が出てくることになるでしょう。そうすると、契約書が長くなってしまったり、読みづらくなってしまったりします。

例えば、当事務所の正式名称は、「弁護士法人兼六法律事務所」ですが、これが、第1条、第2条、第3条・・・と全ての条項に書かれていると長くなるし、分かりにくくなってしまいます。これが、「甲」と一文字で表記できれば、文章が短くなり、読みやすくなります。

このように、当事者の表示を「甲」「乙」とするのは契約書をわかりやすくするためのものですから、「甲・乙」である必要はなく、「A・B」「ア・イ」などでも構わないのです。

ちなみに、契約の当事者が2名だと「甲乙」ですが、契約の当事者が増えていくと、「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」と続いていきます。私が作成した契約書で一番当事者が多かったのは5名だったので、「戊」まで使いました。「戊」は、「ぼ」と読みます。「戊」以降は、何と読むのかも分からない漢字もありますね・・。

また、このように、本来は、単に文章をわかりやすくするためのものですから、どちらが甲でも乙でも構わないのです。

ただ、そうは言っても、昔の学校の成績表は甲・乙・丙で付けられていたり、「甲乙つけがたい」という言葉などからも、何となく、甲の方が偉くて上の立場にあるような印象を受けます。そこで、慣習上、お客さんを甲として、事業者を乙とすることが多いようです。

また、それぞれの業界によって、どちらを甲乙とするかの慣習があるようで、不動産賃貸借契約書では貸主を甲で借主を乙としたり、業務委託契約では委託者を甲で受託者を乙とすることが多いようです。

弁護士や裁判官の立場からすればどちらでも法律上は何の問題もありません。そもそも、弁護士や裁判官はそのようなところを注意もしていませんし、気にも留めていません。ただ、そうは言っても、「じゃあ、どちらを甲にして、どちらを乙にしたらいいの?」という思いはなくならないですよね。本当にどちらでも良いのですが、もし迷ったら、契約の相手を甲として自分を乙としておけば、契約の相手を立てているような印象を与えることになりますから、無難かもしれませんね。
 

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