2018年11月27日

連帯保証債務の時効管理

1 時効管理の重要性

債権は,何もしないまま一定期間が経過すると,消滅時効にかかります。
そして,時効が援用されると,債権は消滅します。

消滅時効期間は,民法改正後は,権利を行使できることを知ったときから5年,
権利を行使できるときから10年となります。
時効に関する改正については,昨年12月27日発行の当事務所ニュースレターの中でご説明しておりますので,
詳細はそちらをご覧下さい。

債権者は,債権が時効消滅するのを防ぐために,適切な措置を講じ,時効管理をする必要があります。
とりわけ,保証債務については,保証債務の附従性により,
主たる債務が時効消滅すると保証債務も消滅するため,時効管理には注意が必要です。

今回は,民法改正のうち,連帯保証債務の時効管理に影響を与えるものについてご説明します。

2 連帯保証人に対する請求の効果-改正前

改正前の規定では,連帯保証人に対して裁判上の請求(訴訟提起など)をすれば,
連帯保証債務のみならず,主たる債務の時効も中断すると規定されていました(改正前民法458条,434条)。
例えば,主たる債務者に資力がなく,連帯保証人から弁済を受けていた場合,
債権者は,消滅時効期間(一般の債権については10年,商事債権については5年)が経過する前に,
連帯保証人に対して訴訟を提起して,連帯保証債務の時効消滅を防ぐといった対応をしていました。

3 連帯保証人に対する請求の効果-改正後

今回の改正により,連帯保証人に対して裁判上の請求をしても,
主たる債務の時効には影響を与えないこととなります。
改正後は,主債務者に資力がなく,連帯保証人から弁済を受けていた場合に,
消滅時効期間(一般の債権も商事債権も,権利を行使できることを知ったときから5年,
権利を行使できるときから10年)の経過前に連帯保証人に対して訴訟提起をしても,
主債務の時効完成を止めることはできなくなります。

したがって,改正前と同じように,連帯保証人に訴訟提起するだけでは,
主債務の消滅時効が完成し,その結果,連帯保証債務も消滅するという事態が生じてしまします。

4 改正を踏まえて講じるべき措置

今回の改正を踏まえて,債権者が講じるべき措置としては,
まず,主たる債務者に対して裁判上の請求等をすることが挙げられます。
主たる債務者への裁判上の請求その他の時効の完成猶予及び更新は,
連帯保証人に対しても効力を生じます(改正民法457条1項)。

したがって,主たる債務者に対して裁判上の請求をしたり,
主債務者から債務の承認を取れば,連帯保証債務の時効完成を防ぐことができます。
主債務者に資力がなく連帯保証人から弁済を受けている場合でも,
主債務者に対する措置を講じるべきでしょう。

また,債権者と連帯保証人との間で,連帯保証人に対する裁判上の請求によって
主債務の時効完成の猶予及び更新の効果が生じるとの合意をすることはできますので,
予めそのような合意をしておくことも考えられます。
従前どおりの対応を続けていると,時効により連帯保証債務を失うことになりかねません。
対策を怠らないようにしてください。

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2018年11月27日 | Posted in 全記事, 民法改正, 法人の相談 | | Comments Closed 

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