事業再生のご相談

4つの事業再生の方法

右肩上がりの経済成長の時代と異なり、成熟した今日の日本社会では企業経営は簡単ではありません。資金繰りに追われる企業経営者も少なくないでしょう。資金調達に走り回っていると本来の経営がおろそかになってしまいます。従業員やその家族の生活を守るためにも事業再生を強く望んでおられると思います。事業再生には主に下記の4つの方法があります。

任意整理(リスケ)

一時的な売上げ減少であれば、銀行にしばらく返済猶予を求めたり、リスケによって資金の余裕を持たせる方法があります。その間に不採算部門を整理したり、希望退職を募るなどして企業損益を改善します。リスケをするには、銀行と直接交渉するほか、中小企業再生支援協議会に依頼する方法もあります。しかし、長期的な売上げ減少や過大な設備投資による借入が大きすぎる場合には、リスケだけでは対応できません。借入金の一部をカットしてもらえればよいのですが、金融機関は簡単に応じてくれないのが実情です。再生支援協議会ではリスケ以外の債権カットも支援してくれるようになっていますので、事案によっては適切な解決ができます。

また、REVIC(地域経済活性化支援機構)に依頼する方法もあります。利益を出せる事業がありながら、過大な負債のために資金的に厳しい状況に陥っている会社、医療法人などのために、REVICが再生支援を行います。具体的には第二会社などを使って債務を削減し、事業の再生を図るものです。

特定調停

過大な負債が資金繰りを悪化させているケースが多くあります。そのような場合には、負債の圧縮が必要となります。金融機関からの借入については信用保証協会が連帯保証しているケースが多くありますが、これまで信用保証協会は法的整理(破産や民事再生)でないと債権カットできないという立場でした。しかし、特定調停手続を使うことで債権カットもできるようになり、特定調停によって信用保証協会の債権を一部カットしたケースも出てきています。

裁判所の手続ではありますが、内密に手続を進めることができますし、一般の取引債権は約定どおりの支払いをしますので、信用悪化につながる心配も少ない手続です。

民事再生

法的に債権カットをするには、民事再生や会社更生という方法がありますが、中小企業の場合には民事再生が適しています。民事再生は借入金だけでなく、買掛金や手形債務もカットの対象となりますので、取引先に対する影響も考える必要があります。民事再生には二つのパターンがあります。一つは収益弁済型と言われるもので、債務のカットを受け、自助努力によって会社の収支を改善し、5年から10年の期間をかけて弁済していくというものです。もう一つは事業譲渡型と言われるもので、会社の事業を他社に譲渡し、その譲渡代金を債権者に弁済して会社自体は清算してしまうものです。いずれの方法も銀行や一般債権者など、影響が大きくなりますので、新聞などで報道されたりもします。手形の決済資金が足りない場合などは、民事再生申立と同時に支払禁止の保全処分を申し立て、銀行取引停止を避けることもできます。

自己破産

自己破産というと事業廃止というイメージが強いのですが、自己破産しても事業を継続できる場合があります。会社の事業の中に優良部門があれば、そこだけを継続させることが可能です。民事再生をしても他社が事業譲渡を受けてくれることは期待できないけれど、従業員が協力すれば事業を継続できるという場合や、役員や家族が会社の資産を適正な価格で譲り受けて事業を続けるケースもあります。これまで長い間苦労して続けてきた事業ですし、従業員とその家族の生活を守っていく必要もあります。あらゆる選択肢を検討して事業継続を目指すべきでしょう。

どうしても事業再生ができない場合には、完全に事業を廃止して清算することとなります。債権者には迷惑をかけますが、裁判所で破産決定を受ければ、債権者が貸し倒れ処理をすることができ、法人税を納税している会社であれば、相当部分を回収したのと同じ結果となります。

また、連帯保証人に迷惑をかけることも心配になると思いますが、連帯保証人ごとに事情が異なりますので、各人に最も適切な方法を選びます。具体的には個人の法律相談「借金問題の債務整理」をご覧下さい。

4つの事業再生の方法

事業再生の2つの事例

事業再生の相談内容
「手形不渡りによる事業廃止」

金属関係の製造会社A社から、リーマンショックの影響を受けて売上が減少し、資金繰りが逼迫して、このままで資金ショートにより手形不渡りとなって事業廃止が見込まれるとして相談がありました。

解決方法
「大口顧客からの資金援助と事業譲渡」

大口の顧客である大手企業B社に相談したところ、支援の意向が示されたため、当面の資金援助を受けながら、再生方法を検討しました。その結果、B社に対し事業譲渡を行うとの方針が固まり、民事再生を申し立て、事業譲渡を行って再生を図ることができました。当初、難色を示していた金融機関もありましたが、協議を重ねることで同意が得られました。従業員全員の雇用も守られ、現在はB社の子会社として立ち直っています。

事業再生の相談内容
「大きな借入金による資金繰り悪化」

業績が悪化したA社は、従業員に退職してもらい、工場も売却して、規模を縮小し、現在は社長一人で現場作業を行っていて、安定的な利益も出ているが、大きな借入金があるため、資金繰りが厳しく、何かよい解決法はないかという相談がありました。

解決方法
「個人事業化して堅実な経営を継続」

会社の資金繰りが逼迫しており、民事再生などを行う資金も用意できない状況でした。会社の負債と比較すると、連帯保証を考慮しても個人の負債の方が小さいため、今後は個人事業として事業を継続することとしました。会社の業務内容は特定の顧客B社からの受注がほぼすべてであり、顧客企業に事情を説明し、協力を求めました。B社は事情を理解し、今後も継続して仕事を発注すると約束してくれましたので、B社の材料支給で社長個人が受注し、製造・納品することにしました。会社は休眠状態にし、社長は、特定調停により債権者(保証債権)と交渉を行い、長期分割弁済の合意ができました。
以前と比較すると売上規模は小さくなりましたが、堅実な経営を続けています。