2025年09月24日

【お役立ちブログ】令和7年10月施行 育児・介護休業法改正

 

1 はじめに

頻繁に改正が続く育児・介護休業法について、今回は、令和7年10月1日に施行される内容を取り上げます。

 令和7年10月1日施行部分は、全て育児に関する部分です。 

仕事と育児の両立を可能にするため、令和7年10月1日の施行に伴い、使用者が講ずるべき措置が増えていますので、対処が必要です。

また、制度があっても使われていないのは勿体ないですし、労働者が育児と仕事を両立できるようにする配慮する必要がありますので、令和7年10月1日から、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と配慮の義務も施行されます。

 

2 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置

令和7年10月1日施行部分の目玉は、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の義務化です。

事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、職場のニーズを把握したうえで、

①始業時刻等の変更

②テレワーク等(10日以上/月)

③保育施設の設置運営等

④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)

⑤短時間勤務制度

の5つの中から、2つ以上の措置を選択して講じなければなりません。

これらの5つの措置について、より詳細に説明すると、

 

①始業時刻等の変更

始業時刻等の変更とは、フレックスタイム制または時差出勤の制度のことです。

当然ではありますが、時差出勤については、保育所への送迎の便宜等を考慮した制度である必要があります。

②テレワーク等

②のテレワーク等の実施場所は、自宅を基本としつつ、サテライトオフィスも含むとされています。

利用日数については、1週間の所定労働日数が5日の労働者について、1月につき10労働日以上とされています。

③保育施設の設置運営等

③の保育施設の設置運営等に関し、保育施設の設置運営には、事業主自身が保育施設を運営する場合だけでなく、他の事業主が行い、事業主がそれに要する費用を負担する場合も含んでいます。

また、保育施設の設置運営に準じる便宜の供与として、ベビーシッターの手配と費用負担が例にあげられています。

③保育施設の設置運営等

③の保育施設の設置運営等に関し、保育施設の設置運営には、事業主自身が保育施設を運営する場合だけでなく、他の事業主が行い、事業主がそれに要する費用を負担する場合も含んでいます。

また、保育施設の設置運営に準じる便宜の供与として、ベビーシッターの手配と費用負担が例にあげられています。

⑤短時間勤務制度

⑤の短時間勤務制度は、一日の所定労働時間を原則6時間とするものです。

 

これらの措置のうち、①~④は、フルタイムでの柔軟な働き方を可能とする制度と言えますので、これらの制度の活用により、労働者が育児をしながら、フルタイムで働けるようになることが望ましいと言えます。

 

3 柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認

制度ができていても、周知されておらず、制度を利用しやすい運用がなされていなければ、勿体ないことです。

そこで、事業主は、3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、個別に、上記の2に記載した制度(対象措置)を周知し、制度利用の意向確認を行わなければなりません。

すなわち、事業主は、労働者の子の3歳の誕生日の1か月前までの1年間(子が1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に、

①柔軟な働き方を実現するための措置として選択した対象措置の内容

②対象措置の申出先

③所定外労働の制限(残業免除)に関する制度及び時間外労働・深夜業の制限に関する制度

を、個別に周知したうえで、意向確認を行う必要があります。

周知と意向確認の方法については、 面談(オンライン面談も可能)  書面交付 以外にも、労働者が希望した場合には、 FAXや電子メール等 も可能です。

なお、個別周知と意向確認は、対象措置の利用申出を促進するためのものですから、当然のことではありますが、利用を控えさせるような個別周知と意向確認が認められないことは言うまでもありません。

 

4 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

事業主は、労働者が本人または配偶者の妊娠出産等を申し出たとき、及び労働者の子が3歳の誕生日を迎える1か月前の1年間(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。

聴取すべき内容は、

①勤務時間帯(始業及び就業の時期)

②勤務地(就業の場所)

③両立支援制度の利用期間

④仕事と育児の両立に関する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)

です。

意向聴取の方法は、面談(オンライン面談も可能)と書面交付以外にも、労働者が希望した場合には、FAXや電子メール等も可能です。

意向を聴取した事業主は、労働者から録取した仕事と育児の両立に関する意向について、会社の状況に応じて配慮しなければなりません。

事業者として労働者の意向を踏まえた検討を行うことが必要となりますが、その結果、何らかの措置を行うか否かは事業者が自社の状況に応じて決定することになりますので、必ずしも労働者の意向通りにしなければならないというものではありません。

ただし、労働者の意向に沿った対応が困難な場合には、労働者に理由を説明するなどの丁寧な対応をすることも重要です。

 

 

5 終わりに

育児・介護休業法の改正を受け、事業主として、労働者の仕事と家庭のバランスに配慮することは当然に重要ですが、それと同時に、 職場内における労働者間の業務量のバランスも重要 だと考えられます。

育児介護をしていない労働者に、業務の負担が偏り過ぎてしまうことも望ましくはないからです。

現在、育児介護をしていない労働者であっても、将来、育児介護をすることになる可能性があるため、お互い様だと考えることもできますが、現に負担が生じている労働者の立場からすれば、思うところもあろうかと思います。

そのため、育児介護をしている労働者の代わりとなって、会社のために頑張ってくれている労働者がいるのであれば、負担が過度になり過ぎないように配慮したり、その労働者の貢献を評価したりすることも必要なことだと思います。

最後になりますが、令和7年10月1日施行の育児・介護休業法の改正に伴い、就業規則の改訂や各種書式の作成等、法律家の支援が必要なこともあると思いますので、顧問弁護士等の弁護士に、お気軽にご相談ください。

2025年09月24日 | Posted in お役立ちブログ, 企業法務のお役立ちブログ, 笠谷洵史の記事一覧 | | Comments Closed 

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