財産管理委任契約
信頼できる人に管理を任せたい
判断能力が低下した場合に備え,あらかじめ信頼できる人を後見人に指定しておく任意後見制度があります。
自分で後見人を選べるというメリットは大きいのですが,
後見が開始した場合には後見人を監督する後見監督人が必ず選ばれることになっています。
そして,後見監督人を家庭裁判所が監督するという三重構造となり,重厚すぎるという批判があります。
更に,後見監督人には弁護士などの専門家が就任しますので,その報酬の支払いが必要となります。
このようなことから,任意後見契約はあまり使われていません。
財産管理委任契約
そこで,お勧めするのが財産管理委任契約です。
これは,信頼できる人(受任者)に対し,具体的な財産の管理や法律行為などを委任し,
それに必要な代理権を与えるというものです。
将来,判断能力が失われた場合でも後見人を選任しない点に特徴があり,
後見監督人や家庭裁判所の監督を受けませんし,それらに必要な報酬も発生しません。
問題は,受任者が財産を横領したり着服することをどのように防ぐのかということです。
財産管理委任契約では一定期間ごとに財産管理の状況を報告することを定めますが,
報告先として本人に加えて親族や弁護士を指定することにより,一定の監督ができます。
また,万が一,不適切な行為が見つかれば,その時点で後見開始の申立てを行って,
財産管理委任契約を解除することもできます。
なお,受任者は,銀行預金の払い出しや老人ホームの契約などはできますが,
不動産の売買はできませんので,不動産の売買が必要となった場合には後見開始の申立てが必要となります。
自分に最適の選択を
将来に備えての財産管理の方法には,成年後見,家族信託,財産管理委任契約など様々ありますので,
自分に相応しい方法を選択することが必要です。
弁護士が詳しくお話しを聞いて,一緒に考えていきたいと思いますので,一度ご相談下さい。