2026年02月24日

【お役立ちブログ】経営者保証ガイドラインとは

1 会社の保証人に社長がなっていませんか

銀行などから資金を借り入れている会社さんも多いと思いますが、借り入れの際には、社長などの経営者が連帯保証人になっていることが多々あると思います。

社長が健康で業績もよく、順調に借り入れを返済している間は問題ないのですが、社長が高齢になり後継者に経営を引き継がせるときや、残念ながら会社がうまくいかなくなり返済できなくなってしまったときなど、連帯保証人になっていることで様々なハードルが上がってしまうリスクがあります。そんな場合 「経営者保証に関するガイドライン」 に沿って、保証債務を整理することができるかもしれません。

今回は、 経営者保証ガイドライン について、概略を解説したいと思います。

 

2 経営者保証ガイドラインとは

経営者保証ガイドラインは、正式名称を 「経営者保証に関するガイドライン」といい、平成25年12月に策定・公表 されました。

あくまでガイドラインであって法令ではありませんので、強制力があるわけではありません。しかし、全国商工会連合会や全国銀行協会などの民間団体や、行政機関も含めて議論し、中小企業団体や金融機関団体に共通の自主的なルールとして策定したものですので、企業や金融機関はこれに沿って行動することが期待されます。

 

3 保証債務の問題

たとえば社長が連帯保証人となっている場合に、社長が高齢のため後継者に会社を譲りたいと思っても、会社の保証債務があり後継者が受け継がないといけないとなると、後継者は安心して受け継ぐことが難しくなります。あるいは、会社がうまくいかなくなって倒産する場合、会社の連帯保証人になっている社長も破産しなければならなくなり、社長の今後の生活に大きな悪影響が出ることになります。

他方で、金融機関としては、そう簡単に連帯保証人の責任を免除するわけにもいきません。保証人の債務を安易に免除してしまうと、その分が寄付とみなされて税金がかかってしまうなどの損失が出る可能性があるからです。破産などの裁判所での手続きならお墨付きが得られるのですが、そうなると社長の負担が大きいというデメリットが大きくなります。

そこで、業界全体で適正な基準を定め、それに従って整理していくことで、 金融機関にも企業にも社長にも利益になるように と、経営者保証ガイドラインが策定され、運用されているのです。

 

4 どんなメリット・デメリットがあるのか

経営者保証ガイドラインを利用する場面としては、 会社の経営を続ける場合 と、 会社を畳む場合 とがあります。

・会社の経営を続ける場合には、新たに融資を受けたり、過去の融資にあたって締結した保証契約の見直しをしたいときに、経営者の保証なしに融資を受けられたり、保証契約を免除してもらえたりする等の可能性があります。

・会社を畳む場合には、ケースによっては社長の個人資産を破産するよりも多く残せる可能性がある、官報への掲載も公開もされないので他人にわからないようにできる、といったメリットがあります。

これに対し、デメリットとしては、あくまで自主的なルールによって話し合い、金融機関が応じてくれないといけないので、 確実にできるという見通しが立ちにくい  一部でも反対する債権者がいるとうまくいかない 、といった不安定なところがあることが挙げられます。

 

5 利用できる場合

経営者保証ガイドラインを利用するには、 主債務者が中小企業であること が必要です。中小企業と言っても、絶対に会社でなければならないわけではなく、個人事業主なども含まれます。

また、 主債務者の保証人が個人であって、経営者や経営者に準じる立場 でなければなりません。そのため、たとえば家賃の債務について保証会社が保証人である場合は、法人ですので対象外になりますし、会社の経営にまったく関与していない親類が保証人である場合も対象外になると考えられます。

保証の対象は、 金融機関などからの金銭債務である場合 である必要があります。そのため、たとえば続けて取引をする場合の取引先への買掛金の保証をする場合は、基本的には対象外になります。

そして、主債務者である会社や、連帯保証人である社長個人が、 これまでもこれからも誠実に対応することが必要 です。信頼できない人と思われても仕方ない事情があると、経営者保証ガイドラインを利用することができなくなってしまうので、信用を損なうことがないよう注意が必要です。

 

6 経営者保証ガイドラインを利用した債務整理

会社を畳む場合を例にとりますと、この場合に経営者保証ガイドラインを利用するのは、 連帯保証人である社長個人の債務整理をする場合 が考えられます。

この場合、金融機関と交渉をしていくことになるのですが、経営者保証ガイドラインを利用する場合には 弁護士などの専門家が手続きを支援し、かつ、中⽴・公正な第三者が関与する⼿続によらなければならない 、とされています。この第三者が関与する手続きには、裁判所での調停(特定調停)や、各県に所在する中小企業活性化協議会での手続きといったものが予定されています。

専門家の支援を受けつつ第三者による手続きを進行する場合、債務の支払いを停止して、弁済計画を立てていきます。弁済計画といっても、財産がないまたはわずかしかない場合などでは、まったく弁済しない内容の弁済計画もありえますが、経営者保証ガイドラインに沿った内容でなければなりません。

最終的には、金融機関などの債権者の承諾を得て、弁済計画による債務整理の成立を目指します。 すべての債権者が合意しなければ債務整理は成立しません ので、残念ながら一部でも反対する債権者がいるときは、別の解決を探すことになります。

 

7 まとめ

経営者保証ガイドラインの利用には多くのメリットがありますので、その利用は 挑戦する価値のある選択肢 です。

他方で、実際に利用できるのかどうか、利用した場合はどう進めていくのかなど、なかなかわかりづらいところも多くあると思います。もしかしたらと思われたら、経営者保証ガイドラインについてくわしい弁護士に相談されることをおすすめします。

 

執筆者プロフィール
弁護士紹介|森長 大貴弁護士 森長大貴 >>プロフィール詳細
1987年福井県生まれ。
債務整理やインターネットトラブルに注力している。
相談に来られた方が叶えたい希望はどこにあるのか、弁護士である前に1人の人間として、その人の心に寄り添って共に考えることを心がけている。
2026年02月24日 | Posted in お役立ちブログ, 企業法務の事例, 森長大貴の記事一覧 | | Comments Closed 

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