2020年04月27日

【新型コロナウイルス】賃料の減額請求について

新型コロナウイルスの影響による賃料減額請求について、Q&Aで解説します。

Q1 新型コロナウイルスの影響により、売り上げが減少した飲食店などが、家主に対して、賃料の減額を求める方法はないでしょうか?
A1 建物の賃貸借契約については、借地借家法という法律が適用されます。そして、借地借家法32条1項は、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」と規定しています。
 すなわち、固定資産税の額の変動、土地や建物の価格の変動、その他、過去に想定されていなかった経済情勢の変動、近くにある同じような建物の家賃との比較によって、賃料の額が不相当になった場合は、借主は、貸主(家主)に対して、賃料の減額を請求することが法律上認められています。
Q2 新型コロナの影響は、借地借家法32条1項に定める事情に該当するのでしょうか?
A2 借地借家法32条1項に定める「経済事情の変動」という要件に当たり得ると考えます。新型コロナの流行が長期間に渡った場合、過去に想定されていなかった経済事情の変動があったとされる可能性はあります。
Q3 賃料減額請求をした場合、すぐに賃料は減額されるのですか?
A3 裁判所で調停という話し合いをして、その話し合いがまとまらなければ裁判ということになってしまいますので、結論が出るまでに相応の時間を要します。
Q4 現状、資金繰りが大変な事業主など、早急に何とかしたい場合は、どうすればいいでしょうか?
A4 貸主に対して、資金繰りが厳しい旨を説明し、賃料の支払いの猶予や減額を求めるという方法があります。貸主の立場として、賃料収入が減少することは大変だとしても、契約を解消されたり、借主が賃料未払いのまま倒産したりするよりは、損失が少ないだろうと考えて、賃料の猶予や減額に応じてくれることもあると考えられます。
Q5 大型ショッピングモールやデパートなどの中に入っているテナントが、賃料減額を求める場合に留意する点は何ですか?
A5 まず、ショッピングモールのテナントなどの場合は、そもそも、建物を借りているのか、その売り場の業務を任されているのかによって、先ほど述べた借地借家法32条1項が適用されるかどうかの結論が違ってきます。建物を借りている場合は、借地借家法が適用されていますが、業務委託契約の場合は、借地借家法は適用されません。
 また、ショッピングモール全体が閉鎖されてしまい、テナントが営業できなくなることもあります。このような場合、個別の契約内容や閉鎖の原因により、対応が異なってきますので、弁護士への相談もご検討ください。


執筆者プロフィール
弁護士紹介|太田 圭一弁護士 太田圭一 >>プロフィール詳細
1981年滋賀県生まれ。
離婚問題や相続問題に注力している。
悩みながら法律事務所を訪れる方の、悩み苦しみに共感し、その思いを受け止められるように努めています。

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