2018年11月27日

約款に関する新たなルール

約款に関する規定の必要性

私たちの日常生活の中で,約款は広く用いられています。
約款とは,事業者等が作成した定式化された契約条項群のことで,
例えば,生命保険約款,バスや電車の運送約款,
コンピュータ・ソフトウエアの利用約款など,様々な種類のものがあります。

約款は広く利用されているものですが,改正前の民法には,約款に関する規定がありませんでした。
今回の民法改正の議論の中で,約款に関する民事ルールを明確にする必要があるとの声が高まり,
約款に関する規定が新たに設けられることになりました。

 

民法の規定が適用される約款の範囲(改正民法548条の2)

改正後の民法では,民法の規定が適用される約款の範囲を,
①不特定多数の者を相手方として,
②その内容が画一的であることが当事者双方によって合理的な取引を対象として,
③契約の内容とすることを目的として,
事業者等が準備した条項の総体と定めています。

改正後の民法では,①から③に該当するものは「定型約款」と呼ばれます。
この規定からすると,一般に約款と言われているものについては,
広く「定型約款」に該当し,改正後の民法が適用されることになります。

 

約款が契約内容になるための要件(改正民法548条の2)

「定型約款」に該当する約款については,
①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしていたとき,
または②事業者等があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときに,
約款が契約の内容になります。

例えば,取引や契約をする際,契約書に「約款を契約の内容にします」と書かれていれば,
契約の相手が約款の内容を全く知らなくても,約款が契約の内容になります。
もっとも,定型約款の条項の中で,様々な事情を考慮して,
一方的に契約の相手方の利益を害する条項は,無効となります。

 

約款内容の開示請求(改正民法548条の3)

契約の相手方は,定型約款を準備した事業者等に対して,
取引の合意前または取引の合意から相当の期間内に,定型約款の内容を開示するよう求めることができます。

 

一方的に約款内容が変更される場合(改正民法548条の4)

さらに,一定の場合には,契約を締結した後で,
事業者等が一方的に約款の内容を変更することができるという規定も設けられます。

約款内容の変更ができるのは,
①約款の変更が相手方の一般の利益に適合するとき,
②約款を変更する必要性や約款変更によって相手方が受ける不利益などを考慮して,
約款の変更が合理的と認められるときです。

なお,約款を変更する場合には,事業者等が,変更後の約款の効力が発生する時期や変更後の約款内容を,
インターネットの利用などによって周知しなければならないとされています。

 

まとめ

今回の民法改正で,約款に関するルールが明確になります。
現在使われている約款の多くは「定型約款」に該当し,改正後の民法が適用されることになりますので,
新しい約款のルールをきちんと知っておくとよいでしょう。

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