コンプライアンスのご相談

コンプライアンスの重要性

コンプライアンスと聞いて渋い顔をする人が少なくありません。「営業の邪魔になる」と考える人もありますし、分厚いコンプライアンス規定集を思い浮かべて憂鬱になる人もあります。しかし、これらは正しいコンプライアンスというものを理解していないと言えます。

コンプライアンスが営業の邪魔になると言う人は、「営業はアクセルであり、コンプライアンスはブレーキだ」と考えています。営業とコンプライアンスが対立するものと見るのです。しかし、そうではありません。成果というものは、努力の質と努力の量によって決まるのであり、努力をせずに成果を出そうとするところに不正が生じるのです。売上げを伸ばすには、ライバル企業に勝る商品を作り、マーケティング戦略を練って、ライバル以上に努力しなければなりません。努力を怠り、不当な表示で消費者をだましたり、賄賂を使ったりして売上げを伸ばそうとしても、必ず破綻が待っています。努力の質と量を上げることこそコンプライアンス経営であり、この意味で営業とコンプライアンスは一体です。

また、コンプライアンスは法令遵守とも言われますが、法令を守ることがコンプライアンスではありません。企業で不祥事が起きた場合、これを公表すべきかどうかを顧問弁護士に尋ねることがあります。弁護士は法的な観点から、会社に法的な責任はないという判断を示しますが、その判断から公表しないという結論を出して大変な目にあった会社はいくつもあります。

コンプライアンスは法的な責任とは別物です。大きな社会問題となった事例は、消費者やマスコミが問題視したものです。消費者もマスコミも法的な責任を判断しているのではなく、世間の常識、一般人の感覚から「ノー」を突きつけるのです。

ですから、コンプライアンス規定集やコンプライアンスマニュアルを一生懸命に作って、それを暗記することよりも、一般常識から見て問題がある事態かどうかという視点を持つことがより重要です。

食品偽装事件が相次いだことがありました。それらは食品衛生法やJAS法、景品表示法などの違反であったのですが、企業が再発を防止するためには、まずそれらの法律をすべての従業員に教えて深く理解させることが必要でしょうか。そんな必要はまったくありません。多くの事件は、法律の解釈を間違えたというものではなく、常識的に考えて誰でも駄目だと分かるレベルの問題だったのです。法律の解釈など必要ありません。

もちろん法改正をフォローしなければならないこともありますが、それぞれの担当部署で対策を考えればよいことであり、全社的に法令の理解を徹底することは必要ではありません。

また、「常識」というものも時代とともに変化します。かつて問題がなかったこと、みんなやっていたことも、時代が変われば問題とされます。企業不祥事の多くもそのような問題です。

ニュースとなる事件をフォローし、時代の流れを読み、現時点の健全な常識を社員が持ち、問題を発見したら、報告して改善していける企業体質こそがコンプライアンスの要です。

コンプライアンスの強化については、
顧問契約および企業法務完成プランにてご相談をお受けしております。