【お役立ちブログ】ハラスメント対策措置の義務化について
1 はじめに
昨今、「ハラスメント」という言葉をよく耳にするようになって久しいですが、令和7年6月11日、企業に対し、新たにハラスメント対策を義務化する法律改正が成立し、公布されました。改正されたのは 「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」 (以下「労働施策総合推進法」といいます)と 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」 (以下「男女雇用機会均等法」といいます)です。)これらの改正法は、公布の日(令和7年6月11日)から1年6か月以内に施行されます。
労働施策総合推進法で対策措置が義務付けられたのは、 カスタマーハラスメント(「カスハラ」) に対するものであり、男女雇用機会均等法で義務付けられたのは、求職者等に対する セクシャルハラスメント(「セクハラ」) への対策措置です。
今回は、これらのハラスメント対策措置等の義務化に関する法律改正について、解説します。
2 カスハラ対策措置の義務化(改正労働施策総合推進法)
- カスハラの定義
カスタマーハラスメント(カスハラ)について、一般には、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為をいうとされています(令和7年10月7日配信「政府広報オンライン」)。
https://www.gov-online.go.jp/article/202510/entry-9370.html
今回改正された労働施策総合推進法において、カスハラは、以下の3つの要件を満たすものであるとされています。
ア 職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(以下「顧客等」といいます)の言動であること
イ その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものであること
ウ 労働者の就労環境を害するものであること
- 事業主の義務
このようなカスハラに対して、事業主は、次の措置を講じるべきこと等が義務付けられました。
ア カスハラについて、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該(カスハラに当たる)言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じること
イ 労働者が上記アの相談を行ったこと又は事業主によるアの相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、その労働者に対して解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならないこと
ウ 他の事業主から、その事業主が講じる上記アの措置(カスハラ防止等に必要な措置)の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応じるように努めなければならないこと
- 具体的な措置の内容
事業主が講じるべき具体的な措置の内容等は、今後、国において、指針によって示すことになっています。
3 求職者へのセクハラ対策の義務化(改正男女雇用機会均等法)
- セクシャルハラスメントについて
職場におけるセクシャルハラスメントは、一般的に、職場において行われる、労働者の意に反する性的言動であって、その性的言動への労働者の対応により労働者が不利益を受けたり、意に反する性的言動により労働者の就業環境を悪化させたりするもの、などと言われています。
そして、求職者(就職活動中の学生や、インターンシップ生など)に対して行われる、求職者の意に反する性的言動は、 「就活セクハラ」 などと言われることもあるようです。
- 「求職者に対するセクハラ対策措置等の義務化
今回の男女雇用機会均等法の改正により、事業主は、求職者に対するセクシャルハラスメント対策を講じるべきこと等が義務付けられました。
具体的には、以下のことが義務付けれます。
ア 求職者(就職活動中の学生や、インターンシップ生など)によるその求職活動その他求職者の職業の選択に資する活動(「就職活動等」といいます)において行われる、事業主が雇用する労働者による性的な言動により当該求職者の求職活動等が阻害されることのないよう、当該求職者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じること
イ 労働者が事業主による上記アの相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、その労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないこと
- 講じるべき具体的な措置
カスハラ対策措置と同様、求職者に対するセクハラ対策措置についても、事業主が講じるべき具体的な措置の内容等は、今後、国において、指針によって示すことになっています。
4 おわりに
カスハラ対策措置等の義務化、求職者に対するセクハラ対策措置等の義務化に関する法律改正について、解説しました。
事業主が講じるべき具体的な措置の内容等は、今後、指針が示されますので、事業主としては、指針の策定状況等を注視する必要があると思われます。
また、改正法施行前であっても、当然、可能な限り、カスハラやセクハラを始めとするハラスメント対策を講じるのが望ましいと言えます。
ハラスメント対策等でお困りのことがあれば、顧問弁護士などの弁護士にご相談下さい。
弁護士 臼井元規 >>プロフィール詳細1990年愛知県生まれ。
交通事故に注力している。
『被害に遭った方の気持ちに寄り添う』ことをモットーとしており、
適切なスピード感を持って,相談者の悩みに誠実に応えるようにしている。









