【企業法務】セクハラで訴えられないための3つの注意点
セクハラで訴えられないためには
前回はセクハラで刑事罰を受けた事例、懲戒処分を受けた事例、慰謝料を支払った事例についてご紹介しました。
慰謝料については、セクハラをした本人だけではなく、会社に対しても請求される可能性があります。
従業員が職場や懇親会など会社の職務と密接な関連のある場面でセクハラをした場合、会社は使用者として損害賠償責任を負います(民法715条1項本文)。
また、従業員がセクハラを受けたのに適切な対応をとらなかった場合、雇用契約上の安全配慮義務違反や雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律11条1項所定の措置義務違反として債務不履行に基づく損害賠償責任を負います(民法415条本文)。
セクハラに対する事業主の指針を明確化したり、相談窓口を整備する等してセクハラを防止することが非常に大切なのですが、それでもセクハラが発生してしまった場合には会社に損害賠償請求をされる可能性があります。
そこで、今回は、会社がセクハラで訴えられないための3つの注意点についてお話します。
1 誠実に対応する
セクハラを受けた人が在職中の場合、いきなり会社に対して裁判をするということはまずありません。
〇〇さんからセクハラを受けたので対処してほしいということから始まります。
その際、あなたにも悪い点があったのではないかと被害者を責めるような発言をしたり、それは勤務時間外だから会社は関係ない(勤務時間外でも会社の責任を問われる場合があります)という態度で接すると、会社は味方になってくれない、何もしてくれないと受け止められ、裁判を起こされるリスクが高まります。
被害者の言い分をよく聞いて、セクハラについての事実確認をした上で、これ以上の被害が出ないような対応をすることが大事です。
誠実に対応することが会社を守ることになります。
2 口止めをしない
被害者に対して、きちんと対処するからこの件は誰にも言わないようになどと口止めをすると不信感を募らせる原因になります。
特に外部に相談しないなら希望の部署に配置転換させるなどと言って、被害者の意向を受け入れる代わりに口止めを要求すると、被害者は会社が保身に走っていると思い、会社を信用しなくなります。
3 弁護士に相談を
セクハラの相談を受けた場合は、早めにセクハラ対応に詳しい弁護士に相談されるとよいと思います。
被害者から会社に対し金銭の請求がなされた場合はもちろんですが、被害者からの被害申告があった時点で相談していただけと、今後どのような対処をすればよいかをアドバイスをすることができます。
金銭の請求がなされていないのに弁護士に相談する必要があるのかと思われるかも知れませんが、弁護士は裁判になったらどうなるかも踏まえて現在どういう対応をするのがよいのかをアドバイスすることができますので、ご相談は早ければ早いほどよいです。
まとめ
以上がセクハラで訴えられないための3つの注意点です。
セクハラで訴えられないための裏技があるのかと思われたかも知れませんが、誠実かつ適切な対応をすることにより訴訟になることを避けることができます。
不誠実な対応をしたり、口止めをすれば裁判を起こされる可能性が高まりますし、裁判でそれが明るみにでれば、より会社の責任が重いと判断され、賠償額も高額になってしまいます。
セクハラが起きた場合は早めに弁護士にご相談下さい。
次回からはパワハラについてお伝えしたいと思います。