2019年01月15日

債権・売掛金回収の方法「弁護士に依頼する前に自分でできること」

取引先への売掛金を回収できないというような場合に,弁護士に依頼する前に自分でできることを考えてみたいと思います。

 

請求の方法としては,電話をする,請求書を送る,訪問する等,いくつかの方法が考えられます。

 

1.電話をする

取引先に電話に連絡をすることがまず考えられます。

電話に出た相手が,「今は厳しいので少し待って欲しい」等の回答があった場合には,必ず返済期限を切って下さい。

また,通常なら事務員がいるはずの取引先の事務所にかけても誰も出ないという場合には,事情が相当切迫しているので,緊急に対応する必要があります。早めに弁護士に相談することをお考え下さい。

 

2.督促状を送る

何度電話をしてもノラリクラリと返済を伸ばしたり,電話に出ない相手には,書面で請求する必要があります。

督促状を送る際にも,普通の郵便で送る場合や,内容証明郵便で送る場合などいくつかの送り方があります。

督促状には,請求金額や,どんな契約に基づく請求なのか(売掛金か,貸金か等),弁済期はいつか等明確に記載して下さい。

なお,内容証明郵便については次回ご説明します。

 

3.訪問する

相手方が電話や書面での請求にも応じない場合には,会社や自宅を訪問することが考えられます。

これは,相手方にとってもプレッシャーを感じますし,会社の業務をしているのか否か,従業員の様子など今後回収できるかどうかを判断するために必要な情報が得られる場合もあります。

また,相手方が留守であれば督促状を郵便受けに入れておく等,訪問の事実を相手方に伝えましょう。

なお,債権者を目の前にすると,感情的になってしまう場合があります。場合によっては思わず手を出したくなることもあるかも知れません。

けれども,どんなに口論が行きすぎても、相手を脅したり,自分が納品したものであっても勝手に持ち帰ったり,物を壊したりは絶対にしないで下さい。

また,相手方から帰ることを求められた場合には,退去して下さい。その場の管理者の意思に反して居座ると不退去罪に当たる場合があります。

こうした行為をすると,逆に,警察に通報されたり、相手方から損害賠償を請求されることにもなりかねません。トラブルが起きやすい状況ですので注意して下さい。

 

弁護士に相談する前に,ご自分で債権回収の努力をしたいという方は多いのですが、上記のようなトラブルが生じる危険もありますし、相手方からずるずると回収を引き延ばされて結局1円も回収できないということになる前に,早い段階で一度弁護士に相談することも検討して頂いた方が良いと思います。

執筆者プロフィール
弁護士紹介|森岡 真一(副所長)弁護士 森岡真一 >>プロフィール詳細
交通事故と企業法務に注力している。
交通事故は,年間相談件数104件(受任件数75件)(※直近1年間)の豊富な経験を持つ。
後遺障害の等級アップについても、多数の実績を持つ。
企業法務分野に取り組む際には、『経営者のパートナーとして会社を良くしていく』という姿勢を一貫しており、企業の『考え方』を共有し、寄り添うことを大切にしている。

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