2019年12月18日

【企業法務】セクハラで懲役刑、セクハラで懲戒解雇等の事例

セクハラしたらどんな処罰を受けるの?

セクハラをしたらどんな罰や処分を受けるのでしょうか?また慰謝料はいくらくらい支払わないといけないのでしょうか?

今回はセクハラで刑事罰を受けた事例、懲戒処分を受けた事例、慰謝料を支払った事例をご紹介します。

セクハラで懲役刑となった事例

取締役営業部長(以下、「部長」といいます)が、会社の忘年会で酩酊してしまいました。

部長を含め男性3人、女性3人で2次会のカラオケに行き、女性2人(A,B)が部長の機嫌をとるために部長の横に座りました。

部長は両隣に座っていた女性(A,B)の腰や肩に手を回す,太ももをさする,キスを迫る,胸を揉む,抱きつこうとするなどの行為を繰り返し、その後、もう一人の女性(C)の胸を揉んだり、着衣の上から臀部を触り、また下着内に手を入れて臀部を触りました。その女性が「セクハラ」と叫んだので、部長は驚いてその行為を止めました。

裁判ではCに対する行為について強制わいせつ罪として起訴されました。行為の時間は10秒以下だったようですが、懲役2年執行猶予4年となりました(平成26年2月7日大阪地裁判決)。

セクハラで懲戒処分となった事例

解雇となった事例

私立女子大学の教授が助手に対し、執拗に買い物に誘ったり、「お尻を触りたくなる」と言ったり、助手同席の食事会で他の教授と卑猥な会話をしたこと等から懲戒解雇となりました。

その教授は懲戒解雇は無効と主張して争いましたが、行為時の地位(セクハラ防止策を推進すべき学科長であったということ),行為の態様や常習性,処分時における反省の程度及び再発リスクの高さ並びに学校法人の経営及び女子大学の信用に与えるリスクなどを考慮して,懲戒解雇は有効と判断されました(平成31年1月23日東京高裁判決)。

停職処分となった事例

小学校の校長が教職員に対し、懇親会で「好みのタイプだ」と発言したり、退勤時にほぼ毎回「食事に行きませんか」と発言しました。

また別の教職員にも10回~20回程度繰り返し「彼氏いるの?」と聞いたり、さらに別の教職員にも
「彼氏いるの?」
「彼氏とうまくいってるの?」
「彼氏のところに行くのか?」
「何人も男をはべらしているんだろう」
「何人の男と関係を持っているんだ」
などと発言したことで、停職3か月の処分を受けました(平成30年3月27日福島地裁判決)。

降格処分となった事例

女性従業員に対し、
「いくつになったん」
「もうそんな歳になったん。結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで」
「30歳は、22、3の子から見たらおばさんやで」
「もうお局さんやで。怖がられてるんちゃうん」
「お給料全部使うやろ。足りんやろ。夜の仕事とかせぇへんのか。時給いいで。したらええやん」
等の発言をしたり、具体的な男性従業員の名前を複数挙げて
「この中で誰か1人と絶対結婚しなあかんとしたら、誰を選ぶ」
「地球に2人しかいなかったどうする」
と聞いたり、セクハラに関する研修を受けた後、
「あんなん言ってたら女の子としゃべられへんよなあ」
「あんなん言われる奴は女の子に嫌われているんや」
という趣旨の発言をした男性従業員が10日間の出勤停止処分となり、それがもとで降格処分となりました。

男性従業員は処分の不当性について最高裁判所まで争いましたが、最高裁判所は処分は有効と判断しました(平成27年2月26日最高裁判決)。

セクハラで慰謝料を支払った事例

セクハラで慰謝料を支払った事例はたくさんあります。
行為の内容、悪質さ、回数、期間、被害の程度等によって慰謝料額は異なり、数十万円の場合もありますが、百万円を超える場合もあり、中には数百万円の場合もあります。

平成28年12月21日東京地裁判決は、上司が部下に帰宅を促す形で頭を複数回触れたことと、「愛してる」などとメッセージを送信した上、はぐらかすような応答がなされたことに対し「もう、いい」と返信した行為をセクハラ行為と認定し、慰謝料10万円、弁護士費用1万円、合計11万円の支払いを命じました。

平成13年7月30日千葉地裁判決は、大学院医学部の指導教官が女性院生に対し、翌日の学会発表について指導を受けた後、宿泊していたホテルの部屋を見ていくように言われ、指導教官の部屋で15分~20分ほど会話をした後、指導教官から3回ほど抱きつくなどした行為をセクハラ行為と認定し、慰謝料300万円、弁護士費用30万円の330万円の支払いを命じました。

まとめ

刑事罰と懲戒処分と慰謝料の支払いは、どれか1つでよいというものではありません。
被害者に慰謝料を支払って許してもらったけど、懲戒処分も受け、刑事罰も受けなければならない場合もあります。

上でご紹介した懲役刑となった事例では、部長は酩酊状態で当時の記憶がなかったようです。これから忘年会という会社もあると思いますが、飲みすぎて道を踏み外さないように気を付けてください。

執筆者プロフィール
弁護士紹介|浮田 美穂(副所長) 弁護士 浮田美穂 >>プロフィール詳細
平成14年より兼六法律事務所で勤務。
女性からの相談が多いため,セクハラ・パワハラの被害についての調停・訴訟の経験もある。
企業法務に関する無料資料

関連記事