2023年11月27日

【解決事例】イラストの著作権侵害?突然請求が来たら…

ご相談の内容

弊社では、8年ほど前から、毎月1回、弊所のホームページにブログ記事をアップロードしていました。そのブログのアイキャッチ画像として、イラストを使っていました。

そのような中、先日、突然、弁護士から文書が届きました。弊社のブログでアイキャッチ画像として使っていたイラストは、A氏が作ったもので、A氏の著作物に該当するところ、A氏は弊社に対しイラストの使用を許可していない、弊社の無断使用によりA氏の著作権が侵害された、したがって著作権侵害に基づく損害賠償を請求する、ということでした。請求金額は120万円ほどでした。

請求金額は、A氏が作成した使用料規程に基づいて算出した金額ということであり、使用料規程は以下のようなものでした。

1年目の使用料     10万円

2年目以降の継続使用料 1年ごとに7万円

無断使用の場合     上記料金の2倍

A氏のホームページなどを確認すると、確かに、弊社が使っていたイラストの著作権はA氏に帰属すると書かれてあり、イラストの無断転載を禁止するとも書かれてありました。また、A氏が作成した使用料規程も、ホームページに掲載されていました。

ブログを投稿し始めた当時の担当職員は、すでに退職しており、無断だったのかどうかを含めて、イラストを使うようになった経緯は、今となっては分からない状態です。

なお、このブログの閲覧者は少なく、1か月に10人程度、閲覧者があるという状況でした。

解決への道筋

まず、ブログ記事から対象のイラストをすぐに削除してもらいました。

その上で、相手方の弁護士に回答文書を送付し、解決に向けて交渉をしました。

本件では、著作権侵害自体を争うことは難しいと思われる一方、損害額は、争う余地があると考えました。

今回のような場合に、著作権侵害に基づく損害をどのように算定するかについて、著作者自身が作成した使用料規程に基づいて算定するのが相当とされる場合もあります。他方で、著作者が作成した使用料規程に基づくのではなく、諸般の事情を考慮して損害額を算定すべきとされる場合もあります。

今回は、月1回程度更新していたブログのアイキャッチ画像としてイラストを使っていただけであり、閲覧者も1か月に10人程度と少なく、このような状況の中、100万円を超える損害が発生したと考えるのは、妥当ではないと思われます。

そこで、著作権侵害により一定の損害が発生したことを前提に、イラストの使用状況やブログの閲覧者等について指摘しつつ、賠償額を交渉しました。

その結果、請求額の半額を支払う内容で、示談が成立し、解決に至りました。

無料で使えると思っていたイラスト等が、実際には無料で使ってはいけないもので、相当後になって使用料や損害賠償金を請求されるといった事案が、最近増えています。これは、Googleで画像の検索ができるようになったことが原因です。著作権者やその代理人弁護士等が、Googleの画像検索を使い、その画像を使用しているウェブサイトを検索し、検索結果から無許可で画像を使っている者があれば、賠償請求をしているようです。

著作権侵害に基づく損害賠償請求を受けた場合、早期に弁護士にご相談頂くことで、損害の拡大を防いだり、賠償金を適正な金額にしたりすることに繋がります。

このような請求を受けてお困りの方は、ぜひ、顧問弁護士などの弁護士にご相談下さい。

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