2022年06月30日

2022年10月1日施行 育児・介護休業法の改正点について弁護士が解説

2022年10月1日施行 育児・介護休業法の改正点について弁護士が解説

 

2021年3月に育児・介護休業法が改正され、2022年4月1日から段階的に施行されます。

今回は、2022年10月1日に施行される改正点について解説します。

改正されるのは2点で産後パパ育休(出生時育休制度)の創設と育児休業制度の変更です。

 

1 産後パパ育休(出生時育休制度)

子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで(予定日前に出生した場合は、「出生の日」から「予定日から起算して8週間を経過する日の翌日」まで、予定日後に出生した場合は「予定日」から「出産の日から起算して8週間を経過する日の翌日」までとなります)の期間内に4週間以内の期間を定めて育児休業を取得することができるようになります。

 

分割して2回取得することができ、例えば妻の退院時に1回、1か月検診前後に1回などです。

2回に分割して取得する場合は、1回目の申出時に2回まとめて申出をする必要があります。まとめて申出をしない場合は、2回目の申出時に事業主は育児休業の取得を拒むことができます。

 

申出の期限は休業開始予定日の2週間前までが原則です。ただし、雇用環境の整備など について、法を上回る取組を労使協定で定めている場合は、労使協定において申出期限を1か月前までとすることができます。具体的には、(1) 雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施 (2)育児休業に関する相談体制の整備 (3)雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供 (4) 雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知 (5)育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置のうち2つ以上の措置を講じ、育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知し、 育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行っている場合です。

 

産後パパ育休においては労使協定をあらかじめ締結している場合に限り、休業中の就業が可能です。

労働者が休業中に就業することを希望する場合は、出生時育児休業の開始予定日の前日までに ① 就業可能日 ② 就業可能日における就業可能な時間帯(所定労働時間内の時間帯に限る。)その他の労働条件を申し出ます。これに対し、事業主は労働者に対し、① 就業可能日のうち、就業させることを希望する日(就業させることを希望しない場合はその旨) ② ①の就業させることを希望する日に係る時間帯その他の労働条件を速やかに提示します。そして、この事業主の提示に対して、休業開始予定日の前日までに労働者が同意を行った範囲内で就業させることができるようになります。

事業主は、同意を得た場合は、同意を得た旨と、就業させることとした日時その他の労働条件を労働者に通知します。

なお、休業中の就業日数には上限がありますし、育児休業給付や社会保険料の免除につ

いて、就業日数によっては要件を満たさなくなることがありますので、労働者に説明を

することが大事です。

 

2 育児休業制度の変更

これまでは原則として分割取得ができませんでしたが、改正後は分割して2回取得す

ることができます。産後パパ育休では最初の申出の際にまとめて申し出る必要がありま

したが、取得の際にそれぞれ申出をすることで足ります。

また、1歳(1歳6か月)以降の育児休業について、期間の途中で配偶者と交代して育児休業を開始できるようにする観点から、育休開始日について、1歳(1歳6か月)時点に加え、配偶者が1歳(1歳6か月)以降の育児休業を取得している場合には、その配偶者の休業の終了予定日の翌日以前の日を育児休業開始予定日とできるようになります。

1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等したときは、再度育児休業を取得できるようになります。

 

産後パパ育休は新たに創設される制度ですので、就業規則等の見直しが必要です。早めに弁護士にご相談下さい。

2022年06月30日 | Posted in お役立ちブログ, その他, 企業法務のお役立ちブログ, 浮田美穂の記事一覧 | | Comments Closed 

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