2020年10月28日

【企業法務】パワハラ発生!!そのとき会社はどうすればよいのか?

使用者、会社としては、従業員が働きやすい職場環境を作る義務があります。

ですから、

・パワハラ防止の啓発・教育に努める・従業員にパワハラ防止を目的とする研修を受講させる

・風通しのよい職場環境を構築する

・従業員の心身の健康に配慮して過重労働を減らす

・従業員のストレスケア対策を行う

・パワハラ相談窓口を開設する

等の対策をとる必要があります。

そうは言っても、残念なことに、パワハラの被害を受けたという従業員が出てしまったらどうすればよいでしょうか。
パワハラが発生したとの報告があった場合に、使用者がとるべき方策について、説明したいと思います。

1 社内調査の徹底


パワハラが起こったという情報を得た場合には、正確な事実関係を明らかにするために、社内調査を行います。
この調査の結果、パワハラがあったとされた場合、加害行為を行った従業員に対する懲戒処分をすることもありますが、調査の主たる目的は、パワハラの再発防止であり、良好で働きやすい職場環境の構築にあることを忘れてはなりません。

社内調査の開始にあたって、まずは、被害者とされる従業員からの申告等により、調査対象となる問題行為を特定する必要があります。いつ、どこで、誰が、誰から、どのようなことをされたのかを、特定し、その事実があったのかなかったのかを調査しなければなりません。
加えて、パワハラの原因や背景事情についても、再発防止の観点から、踏み込んだ調査が必要と言えます。

また、調査の結果、調査対象とされたパワハラ行為がなされていないとの結論に至ったとしても、被害者とされる従業員が、なぜそのような被害申告をしたのかについて、できる限り明らかにすべきです。
少なくとも、その従業員は、何らかの不満を有していることは明らかですので、その不満の原因は何なのか、職場環境に何らかの問題がないかを調べて、改善策を講じることは、今後のパワハラ防止のためにも、また、望ましい職場環境の維持構築のためにも有益なことだからです。

そうは言っても、パワハラの事実があったのかなかったのかを調査することは、簡単ではありません。身体に対する暴力というパワハラが行われた際に、その場面が防犯カメラに写っていたとか、暴言が録音されていたとかいう場合には、パワハラが発生したかどうかは、明らかでしょうが、そのような資料がある場合の方が少ないでしょう。そうすると、パワハラの被害に遭ったとされる従業員、加害者とされる従業員、目撃者とされる従業員、被害者とされる従業員から被害申告を受けていた者等、個人からの聞き取りが重要となってきます。

2 聴き取りの際の留意点


では、従業員等からの聞き取りの際には、どのようなことに留意すればいいでしょうか。

まず、被害を受けたとされる従業員は、精神的に傷ついていることが多いため、傾聴に努めなければなりません。また、被害者とされる従業員は、被害申告をしたことによる報復を恐れているかもしれませんので、被害申告による不利益がないこと、秘密やプライバシーが守られることを説明して、安心して話してもらう必要があります。被害者とされる従業員に、時系列に沿って記載した簡単なメモを作ってもらうと、被害内容が把握しやすいですし、聴き取りに要する時間も短くて済みます。

次に加害者とされる従業員(あるいは役員等)からの聞き取りですが、加害者とされる従業員だからと言って、パワハラをしたに違いないと決めつけたり、高圧的な態度で接したりしてはいけません。パワハラ調査がパワハラになってしまうこともありえるからです。あくまでも、正確な事実関係を明らかにするための事情聴取ですので、加害者とされる従業員の言い分にも、耳を傾け、そのうえで真偽を確かめる必要があります。

目撃者等の第三者からの聞き取りについては、秘密や名誉、プライバシーに配慮する必要があります。少なくとも、被害者とされる従業員の明示の意思に反して、第三者からの聞き取りを行うことは望ましくはありません。また、聞き取りを行った第三者に対しては、どのようなパワハラの調査を行っているのかについて、口外しないように、くぎを刺しておくべきです。

これらの聞き取りに共通する留意点として、聞き取った内容を、どのような形で資料にしておくかという点があります。調査担当者のメモだけで心もとない場合には、録取した内容を書面にして、供述者の署名押印をもらっておく聴き取りの内容を録音するという方法もあります。

パワハラの結果、被害者とされる授業員が鬱病を発症した場合等、将来、裁判にまで発展する可能性がある場合等、調査初期段階での事情聴取の結果が、重要な証拠になることが予想される場合には、供述者の許可をとって録音をしておくということも考えられます。

3 調査の結果パワハラがあった場合の対策


調査の結果、残念なことに、社内でパワハラが起きたことが間違いないとなれば、再発防止の方策を検討します。
従業員全員、とりわけ被害者が、快適に仕事に専念できる環境を構築するために、必要があれば、加害者の異動も考えなければなりません。

また、加害者に対する懲戒処分を行うこともあります。懲戒処分には、訓戒から懲戒解雇まで、様々なものがありますので、どの処分が妥当か、どういう手続きを経る必要があるかなどについて、弁護士の意見を聞く必要があるでしょう。
社内調査の結果作成された資料、社内の組織図、就業規則、履歴書、雇用条件通知書等を準備して頂き、弁護士に相談することをお勧めします。

最後になりますが、お気軽に弁護士に相談して頂きたいと思うのですが、弁護士に相談しなければならないような出来事が起こること自体が、残念なことです。
これまでの記事で述べてきたようなパワハラ防止策を実践し、望ましい職場環境や企業風土の維持形成を目指して頂きたいと思います。



執筆者プロフィール
弁護士紹介|太田 圭一弁護士 太田圭一 >>プロフィール詳細
1981年滋賀県生まれ。
離婚問題や相続問題に注力している。
悩みながら法律事務所を訪れる方の、悩み苦しみに共感し、その思いを受け止められるように努めています。
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