2020年02月18日

【企業法務】派遣労働者の「同一労働・同一賃金」について

前回の、正規社員と非正規社員(有期雇用、パートタイム)に続いて、派遣労働者についてご説明します。

はじめに

企業の取り組みの中でも、派遣労働者に関して派遣元や派遣先それぞれの観点から「同一労働・同一賃金」検討も必要になります。

この場合の「同一」の対象は、 「派遣先の正社員」  「派遣労働者」 です。

派遣社員は派遣元に雇用されて、派遣先で働き、雇用契約や給与の支払い、社会保険の加入などはすべて派遣元が行います。

このため、派遣先が自ら雇用している有期・パートタイム社員よりも対応が複雑です。

派遣労働者にとっても、同じ職務内容でも派遣先が変わると賃金水準が変わり、かえって派遣労働者の所得が不安定になりかねませんし、

派遣する先企業の賃金水準に応じて派遣労働者の賃金が上下するならば、派遣元が派遣労働者の段階的・体系的キャリアアップを目指そうとしても、それに対応して賃金が上昇しないことになってしまいます。

そこで、派遣労働者の「同一労働同一賃金」については、次の二つの方法が考えられています。

「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」

派遣者への「同一労働・同一賃金」を実現するために、派遣元の方針により、

 「派遣先均等・均衡方式」  「労使協定方式」 のいずれかを採ることが勧められています。

①「派遣先均等・均衡方式」
「派遣先均等・均衡方式」とは、派遣先で同じ職務内容の労働者と同一の待遇をするというものです。その場合は、派遣元が、派遣先から同社の社員の労働条件等の待遇情報の提供を受けて、労働者をそれと同一内容で派遣します。

派遣先には待遇情報を提供する義務が定められています。

派遣元は、派遣社員を、派遣先の正社員と同等の待遇にする必要があります。基本給も賞与も、業務に関わる手当についても「差別的不利なもの」にしてはいけません。

なお、この場合の同一というのは、職務内容や配置の変更範囲、その他の事情から判断されます。

②「労使協定方式」
「労使協定方式」とは、派遣元事業主と過半数労働組合であらかじめ労使協定を書面で締結し、労使ともに派遣労働者の待遇を確認の上、この協定に基づいて、派遣先での待遇が決定されるというものです。この場合には、派遣先の待遇に合わせる必要はありません。同じ地域で働く、同種の職種の仕事に従事する正規労働者の平均的な賃金(以上)に合わせます。

派遣元は、労働者の過半数代表者(組合がある場合は過半数組合)と上記の内容について協議し、協定を締結します。締結した労使協定は、労働基準監督署へ届出と労働者への周知が必要となります。

ただし、派遣元の労使協定に従う場合でも、業務遂行に必要な教育訓練や福利厚生施設(休職施設、休憩室、更衣室)利用については、派遣先の通常の社員と均等均衡を派遣元事業主が確保する必要があります。

執筆者プロフィール
弁護士紹介|柴田 未来弁護士 柴田未来 >>プロフィール詳細
北海道生まれ。
アメリカ留学や阪神大震災を経て,人生観が変わった経験を持つ。
弁護士になってからは著作権法の改正活動や通訳・翻訳などの幅広い活動を行ってきた。
平坦な人生ではなかった自身の経験を生かし人生の困難に寄り添う弁護を目指している。
現在は「夫婦問題」「成年後見」「海外案件」に注力している。
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