2019年10月10日
【交通事故】脳に障害が残ったら?自賠責保険による後遺症認定
交通事故の後遺障害の認定
高次脳機能障害には様々な原因があるのですが(下記のコラム参照),今回は 交通事故に遭った場合 のことをお話しします。
【過去の関連コラムはこちら】
車同士の衝突によって,体のどこかを痛める等のけがをした場合,人身事故として警察に通報して,病院で治療を受けることになります。
ところが, 脳に傷がついた場合 ,傷そのものは治っても,死んだ脳細胞は元に戻りません。そのため, 記憶力の低下などの高次脳機能障害が,後遺障害として残ってしまう ことがあります。
このような場合,まずは 自賠責保険から後遺障害の認定を受ける のが一般的です。
自賠責保険は,交通事故によるさまざまな後遺症を,障害が重い順に1級から14級までに分類しており,後遺障害が残ったのか,残った後遺障害が何級にあたるのかの審査を行います。
後遺障害等級のうち,高次脳機能障害による後遺障害は等級ごとに定められています。
後遺障害の認定の基準
自賠責保険によって認定される高次脳機能障害は,以下のようなものだと定められています。
1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(別表第1)
身体能力は残っているものの,高度の痴呆があるために,身の回りの動作に全面的介護を要するもの,とされています。
身体能力は残っているものの,高度の痴呆があるために,身の回りの動作に全面的介護を要するもの,とされています。
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(別表第1)
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人では外出することができず,日常の生活範囲は自宅内に限定されている状態だとされています。
身体の動作としては,排泄や食事などを行うことができても,家族からの声掛けや見守りを欠かすことができない,とされています。
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人では外出することができず,日常の生活範囲は自宅内に限定されている状態だとされています。
身体の動作としては,排泄や食事などを行うことができても,家族からの声掛けや見守りを欠かすことができない,とされています。
3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの(別表第2)
自宅周辺を1人で外出できるなど,日常の生活範囲は自宅に限定されておらず,介助なしでも日常の動作を行える状態ですが、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害についての認識、対人関係能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なものとされています。
自宅周辺を1人で外出できるなど,日常の生活範囲は自宅に限定されておらず,介助なしでも日常の動作を行える状態ですが、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害についての認識、対人関係能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なものとされています。
5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの(別表第2)
単純作業などに限定すれば一般就労も可能なものの,新しい作業を学習できない,環境が変わると作業を続けられなくなるなどの問題があるために,一般人に比較して作業能力が著しく制限され、仕事を続けるには職場の理解と援助を欠かすことができない状態だとされています。
単純作業などに限定すれば一般就労も可能なものの,新しい作業を学習できない,環境が変わると作業を続けられなくなるなどの問題があるために,一般人に比較して作業能力が著しく制限され、仕事を続けるには職場の理解と援助を欠かすことができない状態だとされています。
7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(別表第2)
一般就労を続けられるものの、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから,一般人と同等の作業を行うことができない状態とされています。
一般就労を続けられるものの、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから,一般人と同等の作業を行うことができない状態とされています。
9級10
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの(別表第2)
一般就労を続けられるものの、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題がある状態だとされています。
一般就労を続けられるものの、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題がある状態だとされています。
(「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて」より。
平成12年12月18日 高次脳機能障害認定システム確立検討委員会)
高次脳機能障害を負ったと聞くと,もう一生働けないように思っている人もいますが,それは誤解です。
障害の程度や自身の努力・工夫,周囲の理解と支援によっては,働ける人もいるのです。
複雑で難しいので,1度ご相談いただければと思います。
執筆者プロフィール
弁護士 臼井元規 >>プロフィール詳細
1990年愛知県生まれ。
交通事故に注力している。
『被害に遭った方の気持ちに寄り添う』ことをモットーとしており、
適切なスピード感を持って,相談者の悩みに誠実に応えるようにしている。
1990年愛知県生まれ。
交通事故に注力している。
『被害に遭った方の気持ちに寄り添う』ことをモットーとしており、
適切なスピード感を持って,相談者の悩みに誠実に応えるようにしている。