2020年04月24日

【新型コロナウイルス】感染拡大による株主総会への影響は?

新型コロナ感染拡大による株主総会への影響と対応について、Q&A形式にて解説いたします。


Q1 新型コロナウイルス感染拡大のため、多数の株主が集まる株主総会を開催することは不安です。株主総会の延期はできないのでしょうか?
A1 株主総会の延期は可能です。多くの企業では、事業年度の終わりから3か月以内に、定時株主総会を開催していると思われますが、会社法上、事業年度末から3か月以内の開催が義務付けられている訳ではありません。
また、法務省のホームページ(令和2年4月20日現在)には、「今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます。」とあるように、感染拡大のリスクを回避するためには、株主総会の延期が安全でしょう。
Q2 株主総会を延期できない会社もあると聞いていますが、それはどうしてでしょうか?
A2 現実問題として、一度決めた日程や会場を変更することは、手間もかかりますし、経済的な損失もあるため、難しいということも考えられます。
また、法律的な問題として、定時株主総会の議決権行使の基準日の問題もあります。
すなわち、株を売り買いすれば、株主が変動するため、ある一時点を基準日と定めて、権利行使できる株主を確定する必要があります。そして、その基準日の株主が、その基準日から3か月以内に開かれる株主総会で議決権を行使します。そうすると、株主総会の延期により、再度、基準日を決め直すことが必要になってしまうことがありますので、再度基準日を決め直す等の手間を考えて、株主総会を延期しないと言う判断をする会社もあると考えられます。
Q3 予定通りの期日に株主総会を開催することもやむを得ないとして、感染リスクを減らすための方法として、どのような方法がありますか?
A3 総会当日に来る出席者を減らす必要があります。株主は、必ずしも、現実に会場にくる必要はなく、議決権行使書を送ったり、インターネットによる議決権行使をする方法がありますので、これらの方法を、積極的に活用して頂きたいと思います。
Q4 株主が会場に来ないように誘導したいのですが、どのような工夫をすればよいでしょうか?
A4 株主総会に来た株主に、お土産を渡していた場合は、今回はなしにして、会場ではお土産を配らないということを告知します。その代わりに、議決権行使書を提出した株主に対して、何らかのお土産を送るなどという方法が考えられます。
ただし、株主に対する利益供与という問題が生じうるため、事前に弁護士にもご相談ください。
Q5 株主総会のプログラム内容で配慮すべきところはないでしょうか?
A5 長い時間、密閉された場所に、人が集まることは、感染のリスクを高めると思われますので、少しでも総会の時間を短くできないかを検討する必要があります。
ただし、株主からの質問の時間を制限することは、取締役の説明義務との兼ね合いで、問題が生じる可能性がありますので、質疑応答の時間以外のパートを短くする方法をご検討ください
Q6 株主総会当日に、株主総会の会場で気を付けるべき点は何ですか?
A6 株主総会の会場について、出席者同士の距離が近くならないように、通常よりも間隔をあけて座席を設置する、隣の出席者と一席空けて座ってもらうことが考えられます。
また、出席者には、マスクを配布し、アルコール消毒もしてもらう必要があると思います。
また、熱がある方や体調不良を訴えた株主の方には、別室に移動して頂くなどの配慮も必要でしょう。質問の際に使うマイクは、発言が終わる都度、アルコールで消毒するという対策も行う必要があると思います。

執筆者プロフィール
弁護士紹介|太田 圭一弁護士 太田圭一 >>プロフィール詳細
1981年滋賀県生まれ。
離婚問題や相続問題に注力している。
悩みながら法律事務所を訪れる方の、悩み苦しみに共感し、その思いを受け止められるように努めています。

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