2018年11月27日

コンプライアンスの違反事例(不正の黙認など会社の体質によるもの)

コンプライアンスの違反事例「神戸製鋼データ改ざん事件」

平成29年に神戸製鋼がアルミニウム、銅、鉄粉などに関し
性能データを改ざんしていたことが発覚しました。

製品は航空機、自動車、鉄道などで幅広く使用されており、
三菱重工業、川崎重工業、IHI、SUBARUなどで
データが改竄された素材を使用した製品が販売されていました。

経営理念として「信頼される技術、製品、サービスを提供します」を掲げながら,
売上を伸ばすことに偏り,
生産能力以上の受注をするという体質が原因として指摘されています。

不適合製品の納入先は延べ700社余りに上り,
顧客仕様を満たさない検査結果について、
満たす数値に改ざんする行為、
測定したかのように試験結果を捏造するなどしていました。

原因としては,本社の収益評価に偏った経営姿勢に従い、
各事業部門は工程能力を十分に検証することなく受注するといった
生産至上主義に陥ったこと,
経営陣が抜本的な対応を行わず、
事業部門内の監査も行き届いていなかったことなどが指摘されています。

必要な検査ができないとか不合格データが頻発するような状況であれば,
上司に報告して会社全体として是正措置を検討すべき
と考える社員もあったと思いますが,
長年不正が行われている現場で声を挙げることは困難であり,
周りに迎合して不正に手を染めてしまうことになったようです。

 

コンプライアンスの違反事例「JR福知山線脱線事故」

2005年4月25日 9時18分ごろ福知山線快速電車が塚口駅~尼崎駅間において、
右曲線に制限速度70km/hを大幅に超える116km/hで進入し、
先頭車両から5両目車両までが脱線、
先頭車両と2両目車両が進行方向左側のマンションに衝突しました。

この事故により、乗客106名と運転士1名が死亡し、
562名の乗客と付近を通行中の1名が負傷したという事件です。

運転士が遅れを取り戻すため、
制限速度を超えて運転したことが第一次的な原因ですが,
背景にはJRの体質があったと指摘されています。

一つは営業施策を優先した度重なる運転時間の短縮により、
タイトな列車運行計画になっていたことです。

二つには,JR西日本では、運転技術向上等に効果のない
懲罰的な形の「日勤教育」が行われていたことが挙げられています。

JRグループにおいて、
機器取扱誤り・オーバーラン・信号違反などといった事故や、
事故に至らない阻害を起こした社員に対して、
再発防止を図るため必要な教育が行われており,
「日勤教育」と呼ばれています。

しかし,「教育」とは名ばかりで、
実態は「見せしめ」や「イジメ」「スパルタ教育」などに近く,
ミスを犯した者に肉体的・精神的・経済的な打撃を与える
「懲罰」的や「暴力」的なものもあると言われています。

内容は毎日、
直接的原因と関係ないレポートや作文、就業規則の書き写しのほか、
敷地内などの草むしりや車両・トイレ清掃なども行われ,
給与も大幅に減額されます。

列車の遅れにより日勤教育になることもあり,
これをおそれた運転手が列車の遅れを取り戻そうとして
大幅な速度超過に至ったのではないかと指摘されています。

これも会社の体質が引き起こした事故と言えるのではないでしょうか。

 

コンプライアンス違反への対策

成果というものは努力の質と努力の量によって決まるものです。
努力の質を高めず,
努力の量を増やさずして成果を上げようとすると必ず無理が生じます。
その無理が手抜きや改ざんにつながるのです。

したがって,過大な目標を設定し,
現場に目標の達成を強制するという企業体質があるとすれば,
それは変えていかなければなりません。

根拠のない数字は現場に無理を強いることになりますから,
製造能力やサービス人員の体制などを吟味した上で
可能な目標を設定する必要があります。

しかし,目標が過大かどうかは一義的に判断できるものではありませんし,
仮に過大な目標でないとしても,
現場で無理が生じて手抜きや改ざんという問題が生ずることもありえます。
そのような場合の対応も準備しておかねばなりません。

コンプライアンス違反が生ずる事態となった場合,
それを知った社員は困惑し,苦悩します。

この困惑,苦悩をできるだけ早くすくい上げるシステムが必要であり,
それに有効なのが内部通報窓口の制度です。

現場で生じている問題を速やかに経営幹部に知らせるものであり,
リスク管理のツールとして非常に有効と言えます。

これがうまく機能しないと,いきなりマスコミや監督官庁への内部告発となり,
経営的な危機が生じることもあります。
公益通報者保護法が作られ,
通報した人が不利益を被らないようなルールもできています。

社内に内部通報窓口(コンプライアンス窓口)を設置し,
直通電話番号やFAX番号,メールアドレスを全社員に知らせます。
社員の休憩室などにポスターを掲示することも有効です。

内部通報があった場合には,
できるだけ多くの情報を提供してもらえるような対応が必要ですし,
匿名での情報提供も受け入れるべきです。

内部通報窓口を社内に置いても,
やはり通報しにくいというケースがありますので,
外部の弁護士を通報窓口に加え,匿名で通報できるようにしておくと
通報に対するハードルが下がってより有効に働くと思われます。

2018年11月27日 | Posted in 全記事 | | Comments Closed 

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