2024年05月27日

【相続問題】消息不明の相続人がいる場合も、相続手続きが完遂できました!

ご相談の内容

ある人から、80年前に亡くなった曾祖父であるAさん名義の土地(宅地)について、相談がありました。相続手続きをしようとして、司法書士に戸籍を調べてもらったところ、相続人が11名いることが分かりました。そのうち、相続人の1人でAの孫にあたるPさんが、外国籍の妻Rさんと結婚しました。Rさんには、連れ子の女の子が1人ありました。その子がQさんでした。Pさんは、Qさんと養子縁組しました。Pさんには他に子どもはおりませんでした。その後、PさんもRさんも亡くなりました。Pさんの子はQさんのみでした。

Qさんは相続人となりますので、その戸籍や住民票を取ろうとしましたが、取れませんでした。所在も不明で、生きているのか死んでいるのかもわかりません。そのため、未だにその人のハンコがないため、相続登記ができないまま、現在に至っています、何とかならないでしょうか、という相談でした。

解決への道筋

そこでまず、Qさんの住所を調べることにしました。とりあえず、改めて、Qさんの養父母(PさんRさん夫妻)の戸籍とその附票を取り寄せ、Qさんの所在の手がかりを求めることにしました。そして、Pさん夫妻の住所で、Qさんの外国人住民票の取り寄せを試みましたが、該当ありませんでした。Pさん夫妻の死亡当時の住所の住宅地図や登記簿謄本を取り寄せたりもしましたが、Qさんの住所を特定することができませんでした。また、外国人であって戸籍も取れないため、生死の確認すらも、できませんでした。Qさんの母国との出入国記録も取り寄せしたものの、やはり該当がありませんでした。
そこで、「不在者」の財産管理人(民法25条)の選任申立てをすることにしました。本来、「不在者」とは、「従来の住所又は居所を去った者」ということですから(民法25条)、従来の住所や居所も分からない人が「不在者」に該当するのか、疑念はありましたが、家庭裁判所に申立てをしてみることにしました。

この場合の裁判所の管轄については、住所が分からない場合、財産の所在地を管轄する裁判所とする旨の規定があります(家事事件手続法7条)。そこで、曾祖父名義の土地の所在地を管轄する家庭裁判所に申立てをしたところ、受理されて、不在者財産管理人が、地元の弁護士の中から選任されました。
その上で、その不在者を相手に、遺産分割の調停申立てをしました。その手続きにおいて、遺産の不動産の評価額に基づき、Qさんの持分に相当する金額を算定して提供することで、遺産分割調停は、無事成立しました。

こうして、依頼者は、無事、曾祖父の遺産の相続登記をすることができました。本当によかったです。
面倒な相続事件でも、弁護士に頼めば大抵は解決します。お早めに、弁護士にご相談ください。

2024年05月27日 | Posted in 【個人】相続問題, 二木克明の記事一覧, 個人の解決事例, 新着情報, 解決事例 | | Comments Closed 

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