2019年08月22日

【企業法務】爆サイドットコムで叩かれている社員を守れ!早期対応が肝心

ご相談の内容

爆サイドットコムに,当社の社員について,会社名と社員の名前が出された上,取引先を脅迫しているとか,セクハラで他の社員をうつ病に追い込んだとか,通っているお店に愛人を囲っている等と,事実無根の書き込みがされていました。

書かれた社員は精神的にかなり追い込まれているので,書き込みの削除書き込んだ人物の特定をお願いします。

解決への道すじ

以前にもお話ししたように,削除には時間制限はないのですが,サイト側が書き込んだ人物の情報を保管しているのは3ヶ月程度の可能性が高いです。

また,誹謗中傷をされた人の精神的な落ち込みを考えても,早期に対応しなければなりません

一般的な「書き込みの削除」と「書き込んだ人物の特定」

一般的に,インターネットのサイトに接続して書き込みをする場合,まず利用者が契約しているプロバイダのサーバーを通って,次にサイト運営者のサーバーにつながって,サイトにつながります。
書き込みの削除については,サイトのサーバー管理者自身が行うことができます。

しかし,書き込んだ人物を特定するには
①サイトのサーバー管理者の持つ情報からプロバイダを特定し
②プロバイダに契約者の情報の開示を求める
という2段階をふむ必要があります。

サイトのサーバーが持つ情報は,記事を投稿がされた日時(タイムスタンプ),投稿者のIPアドレス,ポート番号といったものです。

これで,書き込んだ人が書き込む際に使ったプロバイダまでは特定できますが,それ以上の情報は,書き込んだ人物が使ったプロバイダに照会しなければわかりません。

爆サイドットコムは直接請求

書き込みをされた掲示板のある爆サイドットコムには,法務関係の調査を申し込むフォームが用意されています。
2ちゃんねるは会社関係のことはまず回答してこないのですが,爆サイドットコムは回答することが多くあります

そこで今回は,書き込みの削除と書き込んだ人物の情報開示を,爆サイドットコムに対して直接申し込むことにしました。

爆サイドットコムのフォームに入力して申し込むと,爆サイドットコムからメールが送られてきます。
こちらは準備した資料を送付しますが,書き込みの削除と情報開示をすべきかどうかは,爆サイドットコムが判断して,その結果を回答してきます。

本件では,爆サイドットコムが対応してくれて,無事こちらが指定した書き込みの全部について,削除と情報開示がされました。

爆サイドットコムへの開示請求で得られた情報をもとに,さらにプロバイダに情報開示

その後,開示されたIPアドレスをもとに,「whois」というサービスを利用して,書き込んだ人の利用したプロバイダを特定しました。

そしてプロバイダに対して情報開示請求をかけました。

プロバイダに情報の開示を求めた場合,多くの場合は,契約者本人に照会文書が送られ,情報の開示に同意するかどうかを確認されます。
本件でも同様にされたようで,本人の同意がないために拒否するとの回答がありました。

プロバイダに対する開示請求の場合,基本的に情報はプロバイダが長期間保存していますので,短期間で終了する仮処分ではなく,通常の訴訟によることになります。
本件ではプロバイダが開示を拒んだため,訴訟を起こすことにしました。

そして,訴訟を起こして6ヶ月後に勝訴判決を得て,書き込んだ本人にたどり着くことができました。

まとめ

今回のように,会社自体ではなく,社員に対して誹謗中傷がされることがあります。
悪意を向けられることで辛い思いをする人がありますので,このような場合はぜひすぐにご相談いただければと思います。

過去のコラムはこちら

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執筆者プロフィール
弁護士紹介|森長 大貴弁護士 森長大貴 >>プロフィール詳細
1987年福井県生まれ。
債務整理やインターネットトラブルに注力している。
相談に来られた方が叶えたい希望はどこにあるのか、弁護士である前に1人の人間として、その人の心に寄り添って共に考えることを心がけている。

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