2018年07月24日

【企業法務の事例】床材の細かい傷についての過剰な請求に対する対応

ご相談の内容

依頼者は,建築会社で事例です。
自宅を建築したところ,非常に細かいところまで気にする施主であり,工事中も,現場監督や作業員は大変苦慮していましたが,何とか,工事を完成させることが出来ました。

ところが,工事終了後,床に傷があるというクレームがあり,約500万円もの損害賠償請求をしてきました。

該当箇所の写真を確認したところ,一応,細かい傷のようなものがついていますが,このような傷は避けられないものであり,瑕疵とは認められないと思われるものでした。

当該箇所が,ダウンライトで強く照らされる箇所であるため,施主にとっては,多くの傷が付いていると思い,不満に感じていたようです。

解決への道すじ

担当者や支店長は,要求の強い施主に対する対応に苦慮しておりましたので,当事務所が代理人となって,施主に対する対応の一切を行うこととして,施主に対して,今後の対応は全て弁護士が行うこと,そして,工事には問題がないから損害賠償には一切応じることが出来ないことを通知しました。

そうしたところ,施主側にも弁護士が就いて,弁護士が調停を申し立ててきました。

調停において,床材を製造したメーカーに問い合わせをして,建築会社の工事内容には問題がないこと,施主が指摘しているような程度の傷は避けることができないものであるという意見が記載された書面を提出するなどして,建築会社の対応には問題がないと指摘しました。

しかしながら,施主側の意向は強く,調停での話し合いは不調となり,施主側は,さらに訴訟を提起してきました。

訴訟に至っても,当方は,前述の書面等に基づいて,建築会社の工事には問題なく,施主側の請求は過剰・不当なものであると主張しました。

最終的に,裁判官から和解案が示されて,建築会社から解決金として60万円を支払うこと,その代わり,今後,施主は,建築会社に対して,一切の要求をしないことを約束するということで和解が成立しました。

施主は,床材のことだけでなく,他の工事箇所についても,様々なクレームをつけてきていましたので,一定額の支出にはなりますが,これで,このようなクレームの強い施主と縁を切ることが出来るならばということで,60万円の和解金を支払うこととしたものです。

一定の支出はありましたが,担当者や支店長が,このような施主に対して対応する時間や精神的負担の方が大きく,このような金額で示談できたことは,建築会社としても納得してくれていました。

執筆者プロフィール
弁護士紹介|森岡 真一(副所長)弁護士 小堀秀行 >>プロフィール詳細
30年以上に渡って,企業からの様々な相談を受けている。
顧客対応やクレーム処理,債権回収など,時代によって対応に変化が必要であり,最近はSNSなどを意識した対応に心がけている。
2018年07月24日 | Posted in 【企業法務】その他, 企業法務の事例, 全記事, 小堀秀行の記事一覧, 解決事例 | | Comments Closed 

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