2020年08月20日

弁護士が教えるパワハラ防止策

今回は、弁護士が教えるパワハラ防止策をお伝えしたいと思います。
次の5つのパワハラ防止策を実践して頂ければ、パワハラ防止に繋がるのみならず、同時に企業価値も高まると考えられます。


1 パワハラの問題と不利益を知る

まずは、パワハラという問題と、それによる不利益を知ることが大切だと思います。

パワハラによって、傷ついた従業員がいるという現実を直視する必要があります。

過去のパワハラ事例の中には、パワハラの被害者がうつ病等の精神疾患を発症してしまい、長期間の休職を余儀なくされたもの、被害者が自らの命を絶ってしまったものもあります。

また、パワハラ事例の中には、裁判所により、高額の損害賠償を命じられたものもありますし、テレビ等のマスメディアで、◯◯事件というように取り上げられ、会社名が公になってしまったものもあります。

パワハラという不祥事を起こした企業として、損害賠償を払わされたり、世間の批判に晒されたりしてしまうことは、非常に残念なことです。

「人類が歴史から学んだことは、歴史から何も学んでないということだ。」という名言を残した政治家もいますが、まずは、繰り返されてきたパワハラの負の歴史から学ぶことにより、経営者や幹部が、パワハラによる不利益を知ることが、パワハラ撲滅に向けた第一歩と言えます。


2 教育啓発活動を行う

職場内における教育啓発活動も行うべきでしょう。

まずは、職場内におけるパワハラの内容や具体例を明らかにして、行ってはならないことを、明らかにして告知します。

そして、企業として、パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、役員及び従業員全員に伝えます。

さらに、パワハラを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を規定し、周知啓発します。

すなわち、企業全体として、パワハラを許さないという決意を表明し、パワハラ撲滅に向けた機運を作り出す必要があるのです。

これだけで、パワハラが防止できるというわけではないでしょうが、このような取り組みを行うことは、必須と言えます。


3 職場内のモラルを保つ

職場内のモラルを高く保つことも、パワハラ防止の観点から大切なことだと思います。

パワハラに限らず、モラルが低い職場では、不祥事が起きやすいと考えられるからです。

ご存じの方も多いと思いますが、「割れ窓理論」というのがあります。家の窓が壊れているのを放置すると、その家がある地域の治安が悪化していくというものです。

まずは、ゴミのポイ捨てなどのルール違反が起きるようになります。

そうすると、住民のモラルが低下して、地域の振興、安全確保に協力しなくなり、それがさらに環境を悪化させてしまいます。

ひいては、凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになるという順序を辿って、割れた窓ガラスという些細なものが、大きな害悪に繋がってしまうと言われています。

職場内のモラルの低下により、些細な問題が生じた場合、それを放置することにより、職場環境の悪化に歯止めがかからず、いずれ、パワハラという大きな不祥事に繋がってしまうかもしれません。

先ほどの、パワハラに関する周知啓発活動に限らず、職場内のモラルを保つことは、重要だと思います。


4 風通しのよい職場環境を作る

職場内の風通しが悪かったり、従業員同士のコミュニケーションが取れていなかったりする職場では、パワハラが起こりやすいと言う指摘があります。

確かに、閉塞的なぎすぎすとした人間関係のなかでは、各自のストレスが溜まり、そのために問題が生じかねないと言えます。

職場の風通りの悪さやコミュニケーションの欠如が、パワハラの温床となりかねないことは事実でしょう。

経営者や上司の手腕が問われるところではありますが、風通しのよい職場にし、従業員間のコミュニケーションが十分にとれるようにすれば、パワハラが起こりにくいだけではなく、従業員の誰もが生き生きと働ける素晴らしい職場に生まれ変わることができると思います。


5 相談窓口を設置する

パワハラの相談窓口も設置すべきでしょう。

厳密に言えば、パワハラの「防止」ではないですが、被害者のケアを十分に行うこと等により、生じてしまった被害を最小限に抑え、被害拡大及び再発防止にも繋がるものです。

ただし、相談窓口の設置については、いくつか注意点があります。

まずは、相談者のプライバシーが守られることは絶対です。

また、相談員が1人だけだと、その相談員と仲の良い従業員等から受けたパワハラ被害の相談ができません。

そのため、複数名の相談員がいる方がよいでしょう。外部の機関に相談対応を委託することも考えられます。

どこの誰に相談していいか分かりませんということがないように、平時から、パワハラの相談窓口を周知しておくことも必要だと思います。

同時に、パワハラを受けた被害者からの申告が難しい場合もありますので、パワハラを目撃した第三者からの通報も受け付ける体制を構築しておくのが望ましいでしょう。

最後になりましたが、パワハラという問題の解消だけに重きをおくのではなく、従業員の誰もが働きやすい職場環境を作ることができれば、パワハラという問題も自然消滅するのではないでしょうか。

良好な職場環境、素晴らしい企業風土を作り出す。これに勝る対策はないように思います。



執筆者プロフィール
弁護士紹介|太田 圭一弁護士 太田圭一 >>プロフィール詳細
1981年滋賀県生まれ。
離婚問題や相続問題に注力している。
悩みながら法律事務所を訪れる方の、悩み苦しみに共感し、その思いを受け止められるように努めています。
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