【離婚問題】暴力的で証拠隠滅までしかねない妻と離婚
ご相談の内容
まだ若い男性から、妻と別れたいので手続をして欲しい、という依頼がありました。
聞いてみると、結婚してまだ半年くらいしか経っていないが、気分屋で、気に入らないことがあると、すぐに切れて暴言を吐いたり、食器や時計等を投げつけて叩き壊したり、根拠もなしに浮気を疑って、誹謗中傷するメールを大量に送りつけたりするので、これ以上夫婦としてやって行くのは無理なので、離婚したい、とのことでした。
相手の女性は、法学部出身で、そこそこ法的知識もあり、夫婦関係が壊れたのは夫のせいだ、とありもしないことをSNSにアップしたり、警察にも、自分で蹴飛ばしてできた打撲傷を夫に蹴られた跡である、などと申告してみたり、悪知恵が働くので、離婚できるか心配だ、と言うのです。
ご存じの方も多いと思いますが、夫婦は、夫婦関係が破綻していれば離婚することはできますが、夫婦関係を破綻させる原因を作った方からは離婚請求ができないことになっております。
たとえば、不倫で夫婦関係が壊れた場合、不倫をした張本人から離婚請求はできない、というルールです(不倫の被害に遭った方が離婚に同意した場合は離婚ができます。不倫の被害に遭った方があくまで離婚を拒否すれば、離婚はできない、ということです)。そのルールを知っている妻が、あくまで離婚を拒否し、暴力を振るっているのは夫の方だ、と主張するようなので、離婚できるか心配だ、ということでした。
解決への道すじ
そこで依頼を受けて、まず離婚調停を起こしました。離婚等の家事事件では、原則として調停をしなければ、いきなり離婚訴訟を起こすことはできないことになっております。
離婚調停では、予想通り相手は自分の言い分ばかりを述べ、悪いのは夫だ、と言い続けたため、離婚調停は当然成立しませんでした。また、子どもも生まれたことで、相手の要求もあり、こちらの月収に応じた婚姻費用(生活費)の支払を認める決定が下りました。
こちらとしては想定内ですので、引き続き離婚訴訟を起こしました。しかし依頼した方から見ると、相手の言い分ばかり通っているように見え、強い不安を感じ、弊所へのクレームめいた発言も飛び出したりしました。が、何とか取りなして、状況を説明し、納得してもらいました。
離婚訴訟でも相手の言い分は同じでした。相手の主張は、夫の暴力で怪我もしたし、壁がへこんだりもした、それで自分は毎日おびえて生活していた、ただ優しい時もあるので、このまま夫婦としてやって行きたい、というものでした。
そこで、真偽を明らかにするため、証拠調べがなされました。こちらは、夫が妻からもらった多数の嫌がらせメールを提出しました。そこには、死ね、などという過激な言葉もありました。妻が夫の暴力に怯えて生活していたなら、そのような夫の悪口をメールで堂々と書けるはずはない、などと主張しました。夫の言っていることは、終始一貫性もあったため、裁判所には信用してもらうことができ、こちらの言い分が通って、無事、離婚が認められた次第です。